死亡事故で完成が4カ月ずれ込む

 完成が最も遅れるのは、サンパウロにあるイタケロン競技場だ。地元の有力サッカークラブ「コリンチャンス」が発注し、ブラジルの建設大手オデブレヒト社が施工していた。

 13年11月、重さ420tの屋根の鉄骨を40mの高さに架設していたクローラークレーンが倒れて、下敷きとなった作業員2人が死亡した。観客席のコンコースのほか、外壁全面に取り付けてあった横170m、縦20mの世界最大級の電光掲示板も壊れた。現場検証や復旧工事などで、完成は4月中旬にずれ込む見通しとなった。

13年11月27日、屋根を架設していたクレーンが倒れて作業員2人が死亡したサンパウロのイタケロン競技場。W杯では開幕戦や準決勝など計6試合が予定されている(写真:ロイター/アフロ)

イタケロン競技場の完成予想図。事故は30個以上に分割した屋根の最後のピースを架設中に起こった(資料:W杯ブラジル大会組織委員会)

事故の1カ月ほど前に撮影したイタケロン競技場の建設現場。写真右の大型クローラークレーンが転倒した(写真:W杯ブラジル大会組織委員会)

 事故の瞬間は、たまたま現場に居合わせたブラジル人記者が撮影していた。クレーンのブームが震え始めたことに異変を感じてカメラを向けたところ、1分もたたないうちにクレーンが倒れたという。

 現地紙などは、複数の事故原因が考えられると報じている。1つ目は、鉄骨を吊ったクレーンのブームを傾け過ぎたという操作ミス。2つ目は、クレーンのワイヤが破断するなどの機械的なトラブル。3つ目は、地盤の沈下だ。事故当時、地面は雨でぬかるんでおり、クレーンの足元が沈み込んでバランスを崩した恐れがある。

 クレーンを操縦する作業員は18日間連続で勤務していた。