古い団地住戸の間取りは、南北面に採光を取るように工夫された配置など、優れた点は多い。現代の生活に最適化すれば、さらに住み心地は良くなりそうだ。東京R不動産による寄稿「団地復権」第4弾をお届けする。


 東京R不動産のメンバーでもある馬場正尊が代表を務める設計事務所、オープン・エーは、京都市の観月橋団地のリノベーション・プロジェクトで、星田逸郎空間都市研究所とともに建築設計を担当した(事業主は都市再生機構)。

 観月橋団地は、1962年に竣工した古い団地だ。約3haの敷地に14棟の中層住棟が建っていたが、このうち4棟を解体して敷地を新たな街づくりに活用。空き住戸の整理や住民の住戸移転により住戸数を540戸から400戸に集約し、うち60戸をリノベーションして入居者を募集した。2011年3月から計画がスタートし、2012年2月に募集を開始。同年4月にはこの60戸は全て入居者が決まった。

 観月橋団地の住戸は、階段室を対称に住戸2つが並ぶ、いわゆる階段室型の住棟だ。空間的には非効率だが、それによって壁2面が直接外部に面することができ、風の通りが圧倒的にいい。また、南北面に必ず採光を取るように工夫された配置など、優れた点は多い。ただ、2DKに4人家族で住むにはプライバシーがないし、60年代にはまだ普及していなかった冷蔵庫や洗濯機の置き場もない。

観月橋団地の改修前平面図。1960年代の生活がうかがえる(資料:オープン・エー)

観月橋団地。改修前のサイズの小さい浴槽(左)と団地外観(右)。15年で投資回収する家賃設定で改修した(写真:オープン・エー)

 そこで、南北に空間が抜ける利点を生かしつつ、現代の生活シーンに合うプランを考えた。アイランドキッチン型プランと土間型プランだ。