「なんでもあり」がイベントの個性

 技能審査の傍らで、来場者の注目を集めていたのが、「週末みんなでつくる家」と題したイベント。これは、セルフビルドで自邸を建てた建築家、畠山サトルさんを中心に、インターネットなどを通じて参加してきた「素人ビルダー」たちによる小屋づくりのワークショップ。最終日の午前中には無事完成した。

「週末みんなでつくる家」の作業風景。11月3日に無事建具が入ると、会場から拍手が起こった。セルフビルドは一般ユーザーの共感を呼びやすい。このあと宮城県石巻市に運ばれ、ブックカフェとして活用される予定(写真:山本育憲)

 こちらはプロの技を競う「男前大工」とは正反対に、「素人ビルダー」でも無理なくできる簡易な工法や納まりの工夫が見どころとなる。素人だけに施工精度が良いとは言えないが、コンパクトなサイズ感と相まって、かわいらしい建物に仕上がった。きちんとした設計をし、指導者がいれば素人ビルダーでもできることは少なくないことを示した。従来のような趣味としてではなく、住まい方の技術としてのDIYが今後クローズアップされるかもしれない。そんなことを感じさせるワークショップだった。

 これら2つの企画に代表されるように、住宅に関するあらゆる要素が盛り込まれているのが、このイベントの面白さ。このことは、各誌が取材した住宅の中から、各誌が独自に考える「コレカラの家・暮らし」というコンセプトに合致する住宅を選んだ「hope&home アワード」にもいえる。

 会期中の一般投票でグランプリに選ばれた「伊予三島の家」を設計したS.O.Y. 建築環境研究所の山中祐一郎氏は、「通常は一緒に扱われることのないバラエティーに富んだ作品のなかから、一般ユーザーに評価してもらうというのが面白い」と、同アワードの混沌とした雰囲気を前向きに評価した。プロ向け雑誌と消費者向け雑誌が一堂に会したhope&homeならではの妙味だ。

 もっとも、こうした状況を「混沌」と感じるのは極めて業界的な感覚である。一般ユーザーからすれば、これらはすべて家にちなんだコンテンツに過ぎず、「なんでもあり」状態はむしろ自然なこと。最終日に行われたパーティーには多方面のゲストが参加し、大変な盛り上がりを見せていたが、そうした家に関わる多彩な人たちが自然と参加する渦ができれば、独自の個性を持つイベントに育っていきそうだ。

「hope&home アワード」でグランプリを獲得した「伊予三島の家」の設計者である山中祐一郎さん(左)と構造設計を担当した名和研二さん(右)(写真:山本育憲)

締めくくりのパーティーは、住宅業界の習わしに従って各誌の編集長による鏡割りを行った(写真:山本育憲)

hope&homeアワード

■ベスト8

【グランプリ】
伊予三島の家
設計:山中祐一郎/S.O.Y. 建築環境研究所、構造設計:名和研二/なわけんジム

緑のカーテンの家 - Fillet -
設計:熊木英雄/熊木英雄建築事務所

南沢の小住宅
設計:若原一貴/若原アトリエ

MINA GARDEN十日市場 3号棟
設計・施工:ナイス・飯田善彦建築工房・岡山建設設計建設共同体

小金井の家
設計:神田雅子+服部郁子(アーキキャラバン建築設計事務所)

胡座の家
設計・施工:ベガハウス

尾崎さんの家
設計:西久保毅人/ニコ設計室

A Residence
設計:森山善之+植木エリカ/建築設計事務所バケラッタ

■特別賞

ピクニック気分が味わえる楽しい家で賞(選出:住まいの設計)
OUTSIDE IN 川口邸
設計:保坂猛/保坂猛建築都市設計事務所

自分の家は自分でつくる!賞(選出:LiVES)
Lp5
プロデュース:石田勇介(KUKO)

日本の家づくりを変えていく賞(選出:日経ホームビルダー)
彩香 saica
設計・施工:エコワークス

天井が低くても心地よいで賞(選出:建築知識)
守谷の家
設計:伊礼智/伊礼智設計室

居場所がいっぱい 家族が楽しいリビングで賞(選出:建築知識ビルダーズ)
大磯の家
設計・施工 :富士ソーラーハウス(岡村未央子)

楽しい「間取り」賞(選出:my HOME+)
大岡山の住宅
設計:鈴野浩一+禿真哉/トラフ建築設計事務所

融通無碍空間賞(選出:コンフォルト)
夢尋蔵
設計:長岡勉+田中正洋/POINT OUVI 成島建築設計

緑と水のラグジュアリー・ガーデン賞(選出:モダンリビング)
SENSE
設計:今永和利/今永環境計画