マーライオン公園で周囲を見渡すと、超高層ビルや歴史的建造物の存在感に圧倒される。数年前までは、赤土の広がる埋立地だったこの一帯が、英知を集めた建築群で埋め尽くされ、それぞれに個性を発揮している。その中でも、巨大な片持ち梁に支えられた屋上庭園を持つマリーナ・ベイ・サンズはアイコン的な存在だ。

 すでに多数のメディアで取り上げられてきたマリーナ・ベイ・サンズ。実は複数の建物からなる約55億ドル(4400億円、1ドル=80円換算)の複合施設開発である。9月16日に最後の施設「クリスタル・パビリオン」が竣工して、グランドオープンを迎えた。

3棟連なった超高層で2560室のホテルやカジノ、ショッピングモールからなるマリーナ・ベイ・サンズ、白い花のような形がアートサイエンス・ミュージアム、それらを繋ぐプロムナードがある (写真:Tim Hursley)

マリーナ・ベイ・サンズ/サンズ・スカイパーク

 常に注目されるのは最上部の船のような形状の屋上庭園だ。幅38m、長さ340mのデッキが、55階、高さ200mの超高層3棟の上に載っている。ここには、水平線のようにエッジの見えない150mプール、レストランやバーがあり、隣国のマレーシアやインドネシアまで望むことができる。

 世界で一番長いと言われる片持ち梁部分は66.5m、2本の鉄骨梁で支えられ、梁せいは最大で10mに及ぶ。

 橋梁設計の技術も用いながら設計されたこの屋上庭園は、構造体の重量が7000トンを超え、14基のリフトを使用し、世界で最も高所へ行われたリフトアップである。

アートサイエンス・ミュージアム

 ハスの花の形をイメージしたミュージアム。その発想はシンプルだが、内部空間はこの外観通りの複雑な空間となっており、4600m2の展示スペースを擁している。

 10枚の“花弁”はそれぞれ異なる高さと幅を持つ。建物は当然大きい花弁の方に倒れようとするので、その不安定さを水深11mまで達する支持部材でバランスを保ち、解決した。3次元モデル解析なしでこの検討を行うことは不可能だったであろう。