環境配慮型建物の動向を伝える連載の第5回は「日本のグリーンビルディング評価」。日本では、CASBEE(キャスビー)と呼ぶ評価システムが使われている。建物の環境品質と環境負荷を評価して格付けする仕組みだ。(ケンプラッツ編集部)

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<問>日本のグリーンビルディング評価は、どのように行われているのですか。

<答>日本で開発され普及しているグリーンビルディング評価システムは、CASBEE (キャスビー:Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency:建築環境総合性能評価システム)です。

 イギリスのBREEAM (BRE Environmental Assessment Method)やアメリカのLEED (Leadership in Energy and Environmental Design)と同じく、建物の環境に関する様々な項目を総合的に評価するシステムです。評価されるべき建物環境性能は、大・中項目でみるとBREEAMやLEEDと共通するものが多くあります(表1)。

<表1>CASBEEにおける評価項目
(注)「CASBEE既存 評価マニュアル(2008年版)」を基にイー・アール・エスが作成

 CASBEEの特徴は、建物の環境品質(Q)の得点と、建物の環境負荷(L)の得点とを基に算出されたBEE(Building Environmental Efficiency:建築物の環境効率)値に基づき評価することです。BEE値はQをLで除した値です。つまり、環境品質(Q)が高く環境負荷(L)が低いほどBEE値は大きくなり、環境性能の高い建物であることを意味します。

 BREEAMやLEEDは総合得点で最終評価を行い、一定の得点以下であれば不合格です。一方、表2に示すとおり、CASBEEには不合格という概念はありません。評価された建物が格付けS~Cのいずれかには分類されます。BEE値=1.0という評価時点における一般的な水準を目安として、対象建物の環境性能の現状を客観的に把握することができます。

<表2>CASBEEの格付け


(村上淑子=イー・アール・エス グリーンビル研究チーム)


<これまでの連載>
1)グリーンビルディングとは何か
2)注目浴びるグリーンビルディング
3)グリーンビルディングの先進国
4)主要国のグリーンビルディング評価
5)日本のグリーンビルディング評価
6)グリーンビルディング評価の課題
7)グリ-ンビルディングであることのメリット
8)グリーンビルディングはどれくらいあるか
9)既存ビルの環境性能を評価するには
10)グリーンリースとは何か
11)グリーンビルディングの不動産価値
12)建物の省エネ化を促進する米国の取り組み

イー・アール・エス グリーンビル研究チーム

イー・アール・エスは1998年に鹿島と応用地質によって設立されたリスクマネジメントサービスを提供する会社。エンジニアリングレポート(建物状況調査報告書)作成のほか、環境リスク、自然災害リスクの評価・診断などを得意とする。グリーンビル研究チームは建物の環境リスクを研究することを目的に2008年に発足した。環境部の中村直器氏、村上淑子氏、デューデリジェンス部の三嶋滋憲氏、伊藤健司氏、横山博行氏ら約10人からなる。同社のウェブサイトとメールマガジンで、グリーンビルディングに関する先端情報を発信している。