近い将来、築年数や規模、利便性、耐震性などに加えて環境性能が、建物の重要な評価軸として位置づけられることになりそうだ。「環境配慮型建物=グリーンビルディング」の動向を伝える連載の第4回は「主要国のグリーンビルディング評価」。イギリスとアメリカの評価項目を見てみよう。(ケンプラッツ編集部)

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<問>主要国のグリーンビルディング評価は、どのように行われているのですか。

<答>イギリスのBREEAM(ブリーム:BRE Environmental Assessment Method)やアメリカのLEED(リード:Leadership in Energy and Environmental Design)によるグリーンビルディングの評価は、小中学生のころにもらった通信簿(通知表)に似ています。

 通信簿にはまず、国語、算数、理科、社会といった評価すべき生徒の能力を分類した「大項目」があります。大項目の下には、国語ならば本読みや作文といった国語の能力を評価するために必要な様々な「小項目」が設定されていて、この小項目に対して評価点が与えられます。世界各国のグリーンビルディング評価も、基本的にはこのような構成です。

 通信簿における評価すべき生徒の能力分類が、日本全国はもちろん世界各国でも似通っているように、建物の環境性能を評価すべき「大項目」も、ほぼ各国共通です。エネルギー、水、材料・資源、廃棄物、土地利用といった、主に地球環境への負荷となりうる項目と、室内環境といった建物を利用する人の快適性や健康などへ影響を与えうる項目です。

 表1は、BREEAMとLEEDの「大項目」と、「小項目」の一部です。大項目を見ると、BREEAMの方が細かく分類していていますが、ほとんどLEEDと共通していることがわかります。

<表1>建物環境性能評価の対象となる項目
(注)「BREEAM Offices 2008 Assessor Manual」「LEED for Core & Shell Development version 2.0 (2006)」を基にイー・アール・エスが作成

 小項目も、単語だけ眺めれば似ているように見えます。しかし、小項目には各国の学会や法律が定める基準などが反映されていて、詳細にはかなり違いがあります。

 通信簿とグリーンビルディング評価の違いは、総合得点による格付けです。BREEAMやLEEDでは、小項目の評価点を合計した総合得点に応じて格付けが与えられます(表2参照)。BREEAMの「とても素晴らしい」と「良い」とに格付けされた2棟の建物があった場合、どちらの環境性能が優れているか、技術的知識がなくとも容易に判断できます。

 なお、BREEAMやLEEDの評価・格付けは、第三者が行い、認証まで受けることが一般的です。BREEAMやLEEDで定める均一的で客観的な評価基準に則り、公平な第三者によって評価・格付け・認証されることがグリーンビルディング評価の基本です。

<表2>BREEAMやLEEDの格付け
(注)表中の隣り合う格付けが同等という意味ではない

(村上淑子=イー・アール・エス グリーンビル研究チーム)


<これまでの連載>
1)グリーンビルディングとは何か
2)注目浴びるグリーンビルディング
3)グリーンビルディングの先進国
4)主要国のグリーンビルディング評価
5)日本のグリーンビルディング評価
6)グリーンビルディング評価の課題
7)グリ-ンビルディングであることのメリット
8)グリーンビルディングはどれくらいあるか
9)既存ビルの環境性能を評価するには
10)グリーンリースとは何か
11)グリーンビルディングの不動産価値
12)建物の省エネ化を促進する米国の取り組み


イー・アール・エス グリーンビル研究チーム

イー・アール・エスは1998年に鹿島と応用地質によって設立されたリスクマネジメントサービスを提供する会社。エンジニアリングレポート(建物状況調査報告書)作成のほか、環境リスク、自然災害リスクの評価・診断などを得意とする。グリーンビル研究チームは建物の環境リスクを研究することを目的に2008年に発足した。環境部の中村直器氏、村上淑子氏、デューデリジェンス部の三嶋滋憲氏、伊藤健司氏、横山博行氏ら約10人からなる。同社のウェブサイトとメールマガジンで、グリーンビルディングに関する先端情報を発信している。