清水建設の本社新社屋で、輻射空調システムとともに省エネに貢献するのが「ゼロエネルギー照明システム」だ。昼光の利用やセンサーを使った照明の制御などで、昼間の執務室の照明エネルギーを90%削減。さらに、残りの10%に当たる年間8万4000kWhを太陽光発電で賄う。

 まず、太陽の位置に合わせて羽根の角度が自動的に動く「グラデーションブラインド」を設置する。窓際の直射日光を遮りつつ、日射を天井面に反射させ、間接光として室内の奥まで導く。次に、室内の昼光量や人の有無をセンサーで感知して、天井の照明を最適な明るさに制御する。

グラデーションブラインド(右)と従来型のブラインドの照度分布。従来型のブラインドは日射を遮るので室内が暗くなり、人工照明が必要となる。一方、グラデーションブラインドは羽根の角度を制御して、日射を間接光として室内に取り入れる(資料:清水建設)

 天井の照明と各机上の照明とを組み合わせるのも特徴だ。執務室全体を照らす天井の照明を少し暗めに調整する一方、人が在席している机だけ机上の照明を必要に応じてつける。照明の的を絞ることで、在席時の机上面照度700ルクスを確保すると同時にエネルギーを抑える。

 例えば、十分な昼光量が確保できる窓際は、天井と机上の照明をともに使わない。窓からやや離れた場所では、机上の照明だけを使う。窓から最も離れたコア付近では、天井の照明で200ルクス程度、机上の照明で500ルクス程度の明るさを確保。両方の合計で机上面が700ルクスとなるようにする。人がいない場所は、天井の照明を自動的に落とす。

 天井の照明として、全館にLED(発光ダイオード)を採用する。「LEDが輻射天井パネルで冷やされることによって、経年の光量低下を抑えられる利点もある」と同社は説明する。机上の照明にもLEDを使う。

 照明エネルギー削減の大部分は、昼光の利用とセンサーを使った照明のきめ細かな制御によるもの。LEDの採用は「長寿命や省エネなどの将来性に期待した」(同社)からだ。

清水建設が新社屋の施工現場の近くに建つビルに設けたショールーム「超環境型オフィスラボ」。新社屋に採用するのと同じ照明システムが体感できる。天井の照明と机上の照明とを組み合わせた(写真:日経アーキテクチュア)

昼光量に応じた照明の制御。図中の「アンビエント照明」は天井の照明を、「タスク照明」は机上の照明を指す(資料:清水建設)

天井に設けたLED照明。ショールームで撮影した(写真:日経アーキテクチュア)