竹中工務店が施工中の50階建て高層マンションで、既に施工を終えていた柱の接合部が突然、圧壊する事故が発生し、大臣認定や建築確認を取り直して補修している。施工の安定性を高めるための作業手順の変更が、ミスを誘発したようだ。

 事故が起きたのは、大阪府豊中市にある「ザ・千里タワー」。2008年11月14日午後2時ごろ、「ドン」という音とともに19階南側のバルコニーにあるプレキャスト(PCa)の柱1本の接合部が圧壊して、1~2mmほど真下にずれた。圧壊した接合部の表面のコンクリートが高さ30cmの範囲にわたってはく離したほか、18~21階の柱と梁が交差する計8カ所に幅0.05mmほどのひび割れが生じた。

足場を設けて、圧壊した19階部分の柱などを補修している「ザ・千里タワー」。同マンションは千里ニュータウン再整備事業の一環で開発され、北大阪急行線の千里中央駅から徒歩1分の好立地にある。2月12日に撮影した (写真:ケンプラッツ)
(注)取材を基にケンプラッツが作成。寸法の単位はmm

 事故の直接的な原因は、PCa柱の接合部のすき間にグラウト材を充てんしていなかったことだ。

 柱の断面は約90cm四方の大きさがある。接合部の断面にはまず、外周に幅6cmのグラウト枠を設置する。次に、グラウト枠で囲まれた断面の中央にグラウト材を注入して充てんする計画だった。柱のコンクリートの強度は70N/mm2。グラウト材とグラウト枠も、ともに70N/mm2以上の高強度無収縮モルタルを材料に使う。

 グラウト材を充てんし忘れたことで、柱の断面全体にかかるべき荷重が、グラウト枠の範囲だけに集中。上層階の施工が進むにつれて柱に加わる荷重が増え、50階までほぼ建ち上がった段階で、接合部が耐えきれなくなって圧壊したとみられる。高層マンションの施工に詳しいある専門家が試算した結果、事故当時は柱1本当たりに500t以上の荷重がかかっていた。

next:19階から組み立て手順を変更