定価:本体1,900円+税
木下 斉、広瀬 郁 著
日経アーキテクチュア 編
A5判 240ページ
商品番号:218990
ISBN:978-4-8222-7463-4
2013年4月8日発行

まちを新しい時代に対応できるカタチにつくり変えるために。
必要なのは昔の常識とは“真逆”の方法と行動。時間の猶予はない。

本書は、日本の各地方都市の中心部分である「まち」の衰退に対して問題意識を持ち、今後も生活の場所として持続させるために何らかの行動が必要だと感じている全ての人に向けてまとめている。

デッドラインとは「最後の限界線」。今「まちづくり」に取り組むにあたって意識すべき2つの危機的な限界線を意味している。1つは時間。人口が減少し、内需が縮小するなかで、日本のまちの多くは、いつ消えてもおかしくない状況にある。ひとたび悪循環が始まると周辺のまちに人や産業を奪われてしまい、まち全体を失う結果になりかねない。もう1つは空間。今のまちの規模を温存し、その全体に再び活気を取り戻すのは非常に難しいはずだ。「まち」のうちでも、自分たちが最終的に守リ抜きたいエリアはどこなのか。明確にラインを引き、その内側を守るために戦わなければならない。

全国の8割以上のまちは今のまま続けることは難しいだろう。しかし、まちを「会社(事業体)」に見立て、合理的に経営できるカタチにつくり変えれば、生き残る可能性はまだある。本書は、段階を追って現在の課題を認識した上で、まちを守り、変革を起こすための方法を学んでいく構成になっている。

本書の内容

■CHAPTER 1
お金とお客は「正直」だ まちの姿にはワケがある

  • 1-1 都市の中心部と郊外 君はどう感じるか?
  • 1-2 まちの「表の顔」から 個性が消えていった・・・
  • 1-3 ひっそりと守られた まちの裏側の「趣き」
  • 1-4 転換期の幕開けが来た まちの流れは変わる!

■CHAPTER 2
まちはなぜ大きくなった? 統計の「数字」から遡る

  • 2-1 新しい時代の価値観は 新しいゴールを求める
  • 2-2 数字の動きから把握する まちの拡大・縮小の原理
  • 2-3-1 製造力の拡大から転換し まちの維持が課題になる
  • 2-3-2 終戦~1950年代
  • 2-3-3 1960~1970年代
  • 2-3-4 1980~1990年代
  • 2-3-5 2000年代~現在
  • 2-4 これからの「つくる」は「量の供給」とは違う

■CHAPTER 3
まちの「仕組み」を まずは頭に入れよう

  • 3-1 プレイヤーのつながりを見渡し まちを理解する
  • 3-2 お金の「整理の方法」から まち全体をイメージする
  • 3-3 経営の視点を持ち込み「血行」の改善を図る
  • 3-4-1 売る⇔買う
  • 3-4-2 仕入れる/ つくる
  • 3-4-3 貸す~借りる
  • 3-4-4 建てる
  • 3-5 そこに「集まる」ことで 固有の魅力が生まれる

■CHAPTER 4
全てがひっくり返った 発想を逆転させよう

  • 4-1 「いい時代」が過去になり 常識がガラッと変わる
  • 4-2 供給者優位が終わり 全て消費者の主導に
  • 4-3 関係の逆転を前提に まちをつくり変える

[逆転時代のモデル]

  • 4-4 新たな挑戦者のために 安くても儲かる構造に
  •  4-4-1 市・屋台
  •  4-4-2 DIY・セルフビルド
  • 4-5 複数の収入源を確保 相乗効果を持たせる
  •  4-5-1 ネット販売
  •  4-5-2 コンバージョン(用途転用)
  • 4-6 集まる強みを生かして コストの構造を見直す
  •  4-6-1 シェア
  •  4-6-2 コラボレーション
  • 4-7 複数の役割を兼ね 粗利を大きくする
  •  4-7-1 製造小売

■CHAPTER 5
日本の各地で胎動がそれぞれの「守り方」

  • 5-1 まち間の競争を常に意識し 一体になって守りを固める
  • 5-2-1 枚方宿くらわんか五六市、鍵屋別館(大阪・枚方市)
  • 5-2-2 北の屋台(北海道・帯広市)
  • 5-2-3 北浜alley、N.Y. GALLERY(香川・高松市)
  • 5-2-4 co-lab(東京・渋谷ほか)
  • 5-2-5 メルカート三番街/ポポラート三番街(福岡・北九州市)
  •  キープレイヤーに聞く 嶋田洋平さん/企画・設計者
  • 5-2-6 米子市中心市街地活性化(鳥取・米子市)
  •  キープレイヤーに聞く 杉谷第士郎さん/タウンマネージャー

■CHAPTER 6
すぐに実行に移そう変革を導くステップ

  • 6-1 無理をせずに利益を生む それが力を取り戻す源泉
  • 6-2 まちを事業体に見立て それぞれの役割を再考
  • 6-3 資産活用や費用削減 基本に忠実に進める

[エリアを守り、まちを変革する7つのステップ]

  • 6-4-1 ステップ1:まずは守り抜く エリアを決めろ
  • 6-4-2 ステップ2:まちに残る資源を 手元にかき集めろ
  • 6-4-3 ステップ3:まち会社をつくって すぐに行動開始せよ
  • 6-4-4 ステップ4:機敏に動けるように 独自の作戦を立てろ
  • 6-4-5 ステップ5:スピードを緩めずに 成果の連鎖を起こせ
  • 6-4-6 ステップ6:成功には安住せずに 新たな策を繰り出せ
  • 6-4-7 ステップ7:手を離せるくらいに 変革を軌道に乗せろ
  • 6-5 まちの変革に向かい 現場が直面する課題

著者紹介

木下 斉(きのした・ひとし)
1982年東京生まれ
一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事、内閣官房地域活性化伝道師。高校時代に全国商店街による共同出資会社の初代社長に就任し、地域活性化につながる事業開発、関連省庁・企業と連携した調査研究事業を立ち上げる。このときの経験から、補助金依存と非成果主義に陥った日本のまちづくりに疑問を持ち、経営手法を用いるまちづくりを志す。現在、全国12都市のまち会社の事業開発を推進し、2009年にエリア・イノベーション・アライアンスを設立。また欧米・アジア各国でも日本のまちづくり事例紹介と連携に向けて研究者と共に活動、政策提言なども積極的に推進している。著書に『まちづくりの経営力養成講座』がある。

広瀬 郁(ひろせ・いく)
1973年東京生まれ
建築プロデューサー、株式会社トーンアンドマター代表、NPOピープル・デザイン・インスティテュート理事。建築学を専攻後、外資系経営コンサルティングファーム、不動産企画開発会社に勤務。ホテル「CLASKA」では総合プロデュースを担当。その他、都内・上海で複数の商業施設をプロデュース。独立後は、都市・まち・建築に関わる事業開発と空間デザインの融合を目指し、飲食店、美容サービス店などのプロデュースのほか、上海万博のパビリオンをはじめとする複数の大型商業施設のプロジェクトに参画し企画・事業推進などを手がける。受賞歴に「Wallpaper Design Award」「Asia Design Award」「JCD Design Award」など。著書に『建築プロデュース学入門』がある。