東京・高尾にある鳥料理とステーキの店「うかい鳥山」。そのオーナーである鵜飼貞男氏と,藤森照信・東京大学教授との対談が,「平成の普請賢者」にスポットを当てた日経アーキテクチュア10月17日号の特集「平成クライアント列伝」に収録されています。  

 鵜飼社長は1964年にうかい鳥山を開店したのを皮切りに,最近では銀座うかい亭(2003年),東京芝とうふ屋うかい(2005年9月)を開店しています。その鵜飼社長と藤森氏がなぜ対談することになったのか。それは,藤森氏が書籍「建築家が選んだ名建築ガイド」(日経BP社刊)の中で,うかい鳥山を東京の名建築のイチオシに挙げ,「ああいうものをどんなオーナーがつくったのか,会ってみたいね」と漏らしていたからです。  

 対談は,「東京芝とうふ屋うかい」を見学した後,銀座うかい亭で行われました。鵜飼社長は「一番の根本は今つくっているものが100年たっても,びっくりするものであるかということなんですよ」「5年,10年でつぶしちゃう,3年たったら古くなるという,一般的な飲食店の生き方とは完全に道を分けたわけです」と,本物へのこだわりを語りました。  

 書籍で,うかい鳥山を「日本的と言われるイメージをこれほど高い純度で実現したところはない」,「外国人をよく連れていくが,彼らにとっては,京都に行くより満足度が高いかもしれない」と絶賛していた藤森氏は,2000坪の敷地に建物は500坪で,古い木造を移築し新築部分に古材を多用した「東京芝とうふ屋うかい」もたいへん気に入った様子。「国の迎賓館が京都にできたが,国のお客さんも,どちらかを選ばせたら,本当は“民間の迎賓館”へ行きたがると思いますよ」と締めくくっていました。

 特集では,鵜飼社長のほかに,六花亭製菓社長の小田豊氏,ベネッセコーポレーション会長の福武總一郎氏,星野リゾート社長の星野佳路氏が登場します。企業価値の向上を目指す経営者が,自社の施設をどのようにつくっていくか。建物に込めた普請賢者たちの思いは,経済合理性を第一とする現代社会にあって,建築が失いつつある本質をも呼び起こしてくれるようです。  

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出典:2005年10月17日
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