日本より一足先に、電子書籍サービスが普及し始めている米国。電子書籍の台頭は人々の読書スタイルをどう変えたのか、シリコンバレー在住のジャーナリスト、瀧口範子氏が現地からレポートする。

 先日、飛行機で隣り合わせた女性がタブレット端末で読書をしていた。60代前半か。持っていたのは「iPad(アイパッド)」。機内の映画を見終わると読書を始めたが、1時間ほどすると飽きてしまったのか、画面をゲームに切り替えた。盛んにスタイラスを動かして闘っている。

電子書籍が一足先に普及した米国では、端末で本を読む人を普通に見かける(写真はアマゾンの専用端末「Kindle Paperwhite」)
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■専用端末派が減り、タブレット派が増加

 調査組織のピュー・リサーチによると、電子書籍の読者でアマゾンの「Kindle(キンドル)」や書店チェーン大手であるバーンズ&ノーブルの「Nook(ヌーク)」など読書専用の電子書籍リーダーを好むのは、2012年4月時点では、半年前の72%から58%に下がったという。代わりにiPadを中心としたタブレット端末へ乗り換わり、そちらを読書用機器として好む人々が13%から24%へと増えた。タブレット端末がまだ限られていた時期の調査だから、今ならもっと多いはずである。

 一方で、最近はKindleやNookを持っている人を見かけると、「かなりの読書家だな」と感じるようにもなった。ともかくシンプルに読書だけしたい人、1週間に何冊もの本を読む人は、かえって単一機能の電子書籍リーダーを好む傾向がある。無駄な機能もなく、電池を充電しなくても数週間と長持ちする。

 電子書籍コンテンツの消費も伸びている。電子書籍の会議を開催しているパブリッシャー・ローンチが最近発表した数字によると、米国の大手出版社の国内での売り上げのうち、電子書籍が占める割合は今や30%にも届きそうな勢いだという。数年前は一桁だったのが、現在はもはや無視できないほどに大きくなっているということだ。

どんな機器で電子書籍を読んでいるか
電子書籍を読む端末や機器も、年代によって顕著な差がある。若者は携帯電話やパソコンで、30代以上は電子書籍専用端末やタブレットで読む傾向が強い。
(出典:Pew Research Center's Internet & american Life Reading Habits Survey。調査期間は2011年11月16日~12月21日。16歳以上の2986人を対象に実施し、過去1年間に電子書籍を読んだことのある793人から回答を得た)

 そのため、やっと電子書籍元年が来た日本とは違って、米国ではほとんどの新刊がハードカバーと電子書籍の両方で発売される。電子書籍は特に値段の安さが魅力だ。新刊のハードカバーが25ドルほどする一方で、同じ書籍の電子版は10ドルから13ドルほどに設定されているのが通常だ。2分の1以下の値段である。米国の電子書籍がいきなり離陸したのも、この安い価格によるところが大きい。

Amazon.comでは、大抵の本はハードカバー、ペーパーバック、Kindle本、オーディオブックから選べるようになっている
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