通信事業者はスマートフォンに悲鳴!

 パソコン向けウェブページの閲覧に音楽や映画のストリーミング。スマートフォンならこうした大容量コンテンツも安心して楽しめる。なぜならデータ通信の料金は定額制で使い放題だから─。

 これはもはや過去の常識になりつつある。米国では主要な通信事業者のうち、すでに3社が従量課金制に移行。ユーザーは料金を気にしながらスマートフォンを利用する時代に入っているのだ(図1)。

図1 米国の主要な携帯電話事業者は定額制を廃止し、従量課金制に移行した。上記の従量課金制プランの場合、1カ月で2GBを超えると、超過分の通信量に応じた料金がかかる
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 例えば、最大手の携帯電話事業者であるベライゾン・ワイヤレスは、この7月から新規契約者に対して従量課金制を導入した。従来は月額30ドルで使い放題。だが7月からは、月間の通信量が2ギガバイトまでなら30ドルだが、これを超えると1ギガバイトごとに10ドルが追加される。

 大きく方針転換した理由は、データ通信量の増大に伴い、ネットワーク管理のコストが膨らんだためだ。携帯電話と比べて、スマートフォンは通信量が増えがち。過去1年間で、平均的ユーザーの通信量が89パーセント増えたというデータもある。ベライゾンと並ぶ最大手のAT&Tは、4年後の通信量はたった2カ月で、昨年1年間の通信量に達するだろうと予測する。そこにスマートフォンの急激な普及も加わり、通信事業者の負担は増すばかりというわけだ。

 ベライゾンでは、経営トップが昨年末の段階で「使い放題を打ち出して新規契約を誘う手法はもう維持できない」と発言していた。従量課金制に移行した今、定額制にはしばらく戻れないだろう。

 ネットワークの負荷が高まっているのは、日本の携帯電話事業者も同様だ。ただし、国内では料金そのものではなく、接続速度の制限で対応する(図2)[注]。例えばauは10月から、3日間の通信量が約366メガバイトに達したスマートフォンのユーザーを対象に、接続速度を制限する。

 ただし、料金の改定や通信速度制限は、日米いずれも携帯電話回線のデータ通信を使った場合のこと。無線LANやWiMAX(ワイマックス)などで通信する場合は従来通りとなる。より安心してスマートフォンを使うためには、今後、無線LANスポットなどの接続サービスがもっと普及してほしいところだ。

図2 国内では、携帯電話が対象だった速度制限を、スマートフォンにも適用する動きに。auは、3日間で通信量が約366MBを超えたユーザーを対象に、翌日以降の接続速度を制限する
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[注] NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルはいずれも、携帯電話向けには2008年から同様の速度制限による対策を実施している

出典:日経PC21 2011年11月号
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。