米国で有名なクイズ王2人が2011年2月、テレビ番組で歴史的な敗北を喫した。彼らに勝ったのは、米IBMが開発した「Watson」(図1)。各国の25人の研究者が、8つの大学などの協力を得ながら4年がかりで築き上げたコンピューターシステムである。

●クイズ王に勝利した「Watson」
図1 クイズ番組で歴代チャンピオンと対決(上)。2880個のCPUコアを搭載するスーパーコンピューターだ(下)
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 Watsonは、「質問応答」と呼ばれる技術をベースにしている。質問に対して解答そのものを返す技術だ。これまでも多くの研究者が取り組んできたが、従来は「医療や経済など分野を限定し、その分野のデータベースを拡充するという方法が一般的」(Watsonの開発に携わった日本IBM 東京基礎研究所 主任研究員の金山博氏)だった。分野を問わずどんな質問にも答えるというWatsonのチャレンジは、非常にハードルが高い。

 Watsonが“情報源”としたのは、Web上の百科事典「Wikipedia」などから収集した70GBほどのテキストデータ。事前に文の構造などを解析し、「蛍光ペンでキーワードをチェックするように、データに注釈を付けておいた」(金山氏)。例えば「夏目漱石が『坊ちゃん』を執筆した」といった文章があれば、『坊っちゃん』の著者が「夏目漱石」であるという注釈を加えるイメージだ。こうしたデータを大量に蓄えて、本番に臨んだ。

 対決の舞台となった人気クイズ番組「Jeopardy!」では、司会者が読み上げる問題が画面にも表示され、解答者がボタンを押して答える。音声認識機能を持たないWatsonは文字で問題を取得し、ボタンをシリンダーで押して解答した。

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