ネットノートとスマートフォンの挟み撃ちで販売不振

 2008年に「5万円ノートPC」として華々しく登場したネットブック。登場から2年以上たち、その勢いに陰りが見え始めた。最盛期はノートパソコン全体の約3分の1を占めていた販売比率が、昨年の後半から急落。最近は2割を切っている(図1)。

図1 BCNの調べによる、ノートパソコン全体における、ネットブックと通常の携帯ノートの比率。ネットブックは最盛期は33.1%に達したが、2010年3月には14.4%まで落ち込んでいる。代わりに、ネットノートなどの「スタンダードモバイル」が伸びている
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 これほど急激に落ち込んだのは、「ネットブックのライバルが幾つも昨年に登場したから」(BCNデータグループの森英二アナリスト)だ。

 その筆頭が「ネットノート」などと呼ばれる格安の携帯ノートPC。ネットブックよりも1万~2万円高いが、CPU性能が2倍以上あり、画面も一回り大きいことで人気を集めている。特に日本ではネットノートを選ぶ人が多いという。

 もう1つは、iPhoneやアンドロイド携帯など、高性能な携帯電話(スマートフォン)が台頭してきたこと。外出先で手軽にネットに接続できる点がネットブックのコンセプトに近い。

 しかし、メーカー各社に慌てる様子は見られない。ネットブック販売シェア2位の日本エイサーも「予想より早かったが、落ち込むことは想定していた」(日本エイサーマーケティング部の瀬戸和信マネージャー)と、この事態を織り込み済み。これまで発売したネットブックで自社の認知度を十分高められたため、これを足がかりに今後はA4ノートや格安携帯ノートで売り上げを伸ばすつもりだという。

 2年前に初めてネットブックを世に出したアスースも、ネットノートなどでネットブックの落ち込みをカバーする考えは同じ。ネットブックについては、「とことんコストパフォーマンスの良いものか、一芸に秀でた機種はまだ伸びる」(滕婉華マーケティングマネージャー)と分析。昨年の後半から、タッチパネル搭載機やデザインに注力した製品など、付加価値を付けたネットブックを続々と投入している(図2)。この動きは国内メーカーにも広がっている。

 ネットブックを出せば、ユーザーが安さに飛びついていた時代は終わった。今後は、特徴的な機能をどう盛り込むかが厳しく問われることになりそうだ。

図2 どの製品もCPUやOSがほとんど同じため違いが出しにくかったネットブックだが、今年に入って特徴ある機能やデザインの製品が増えてきた
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出典:日経PC21 2010年 6月号
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。