IntelがIntelを食う。これは単なる共食い現象(カニバライゼーション)ではないのだろうか。IntelのAtomベースのネットブックが、同じIntelのCeleronノートPCを置き換えているだけのように見える。はたして、Atomの成功は、Intelにとっていいことなのか、悪いことなのか。

 Intelが今年出荷するCPUのうち、Atomの比率は15%に達するという。とどまる気配を見せないネットブック現象は、ノートPC市場の構図をすっかり塗り替えてしまった。店頭にはずらりとネットブックが並び、安さにつられて初心者ユーザーもネットブックに群がる。でも、その一方で、ノートPC全体の価格が引きずられてどんどん下落。モバイルノートPCや廉価なCeleronノートPCは、ネットブックに押されて影が薄くなってしまった。このままネットトップにも火が付けば、デスクトップも似たような状況になるかもしれない。

IntelのAtomがIntelのCeleronを共食いする

 PCが安くなるのはエンドユーザーにとってはいいことだが、大半のPCメーカーにとっては、単価の安い商品ばかりが売れるので、いい迷惑だ。Intelにとっても、単価の安いAtomが、より単価の高いCeleronやPentiumを食うのだから、Atomが売れるのは、困ったことなのでは。

Intel CPUのダイの大きさは、実はシリーズごとに大きく異なっている。そのため、製造コストにもかなりの違いがある。
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 ところが、IntelはAtomの成功は大歓迎と、涼しい顔をしている。なぜなのだろう。

 それは、Atomが単価が安くても、利幅が大きいCPUだからだ。売り上げは小さくてもそれなりに儲かるから、Intelとしては困らない。特に、ローエンドのCeleronは利幅が小さいので、儲からなくて困っていた。それをAtomが置き換えてくれるなら、大歓迎というわけだ。Atomが利幅の大きな上位のCoreブランドCPUを食ってしまうなら困るが、Celeronなら問題はない。

 なぜAtomの製造コストはそんなに低いのか。理由は簡単だ。CPUの構造がシンプルで、ダイサイズ(半導体本体の面積)が小さいからだ。CPUのコストは、シリコンウエハーから作られるダイ(半導体本体)、チップパッケージ、テストが3大要素だ。中でも一番大きな要素はダイで、ダイが小さければ小さいほどコストが低くなる。

 Intel CPUのダイサイズを比べてみよう。現在のデュアルコアCPU、Core 2 DuoやPentiumやCeleronのデュアルコアは、45nm版では81mm2のダイとなっている。Core 2系のクアッドコアは81mm2のダイを2個組み合わせている。Core i系のクアッドコアはずっと大きくて200mm2台だ。

 面白いのはシングルコアのCeleronで、これは製造プロセスが65nmであるため、ダイサイズは45nmのデュアルコアとほぼ同じ80mm2となっている。つまり、IntelにとってCeleronは、シングルコアもデュアルコアも同じコストで作ることができる。いずれにせよ、最小のダイサイズは80mm2で、それより下のクラスのダイは一般的ではない。

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