米マイクロソフトは2009年6月23日、無料のウイルス対策ソフト「Microsoft Security Essentials」(以下、MSE)のベータ版を限定公開した。正式版は2009年末までに提供する予定。ベータ版は英語版と簡体中国語版、ポルトガル語版だけだが、正式版については、日本語も含めたいくつかの言語版を用意する。

 MSEは、ウイルス(悪質なプログラム)を検出・駆除するソフト。対象OSは、Windows XP/Vista/7。同社が販売しているセキュリティソフト「Forefront」や「Windows Live OneCare」(2009年6月で提供終了)と同じウイルス検出エンジンならびにウイルス定義ファイル(パターンファイル)を採用。市販のセキュリティソフトと同様に、パソコンに常駐してリアルタイムでウイルスを検出する。ハードディスクに保存されているファイルを、オンデマンドでチェック(スキャン)する機能も備える。

 ただし、ウイルス対策以外の機能はない。市販のセキュリティソフトの多くが備えるファイアウオール機能や迷惑メール(スパム)対策機能、URLフィルタリング機能、バックアップ機能などは備えていない。

4カ国限定、日本は対象外

 今回のベータ版は、ダウンロード数や提供対象を限定した。ダウンロード数の上限は7万5000本。ベータ版の提供目的は、ユーザーからフィードバックを受けて正式版に反映すること。「提供本数があまり多くなると、すべてのフィードバックを取り扱うことが困難になる」(マイクロソフト日本法人セキュリティレスポンスマネージャの小野寺匠氏)ために上限を設けたという。なお、既に上限数に達したため、提供を終了している。

 提供対象は米国・イスラエル・中国・ブラジルのユーザーのみ。この4カ国に限定した理由は、「ウイルス感染率が比較的高いので、これらの国のユーザーに、特に利用してほしいと考えた」(小野寺氏)ためという。

 日経パソコン編集部では、ベータ版の英語版を独自に入手。使い勝手などを試した。なお、ユーザーからのフィードバックによって、正式版ではユーザーインタフェースなどが変更される可能性があるとしている。

 マイクロソフトの小野寺氏によれば、MSEのコンセプトは、「(1)信頼できるセキュリティ」「(2)容易に入手、簡単な操作」「(3)少ない負荷、快適な動作」の 3つ。(1)については、前述したように、実績のあるウイルス検出エンジンの採用や、リアルタイム検出機能の搭載などによって実現するという。

 (2)の「容易に入手、簡単な操作」は、無料で入手可能であることや、インストールや操作が簡単なこと。実際、インストールは簡単で、戸惑うことはなかった。操作画面もシンプル(図1)。必要と思われる設定は初期設定ですべて有効になっているので、ほとんどのユーザーは、変更しなくても大丈夫だろう。

操作画面はシンプル、ウイルス検出で警告を表示
図1 Microsoft Security Essentials(MSE)の操作画面例。「Home(ホーム)」「Update(更新)」「History(履歴)」「Settings(設定)」の4種類のタブを用意。リアルタイム検出や定義ファイルの自動更新などは初期設定で有効になっている
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 (3)の「少ない負荷、快適な動作」を実現するために、MSEは「通常のパソコン操作を極力妨げないように設計している」(小野寺氏)。インストールするとバックグラウンドで動作。新しい定義ファイルが公開されると、自動的に更新する。MSEの存在に気が付くのは、ウイルスを検出したときぐらいという(図2)。

図2 MSEが表示するウイルス警告ダイアログ。通常はバックグラウンドで動作し、ウイルスを検出した場合のみ、Windowsの画面右下などに警告ダイアログを表示。ダイアログ中の「Clean computer」ボタンをクリックすると、ウイルスの駆除や隔離を実施する
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 ウイルスを検出すると、画面の右下にダイアログを表示。「Clean computer」ボタンを押すと、ウイルスを駆除(感染ファイルからウイルスだけを除去)。駆除できない場合には、ウイルスファイルを特定のフォルダーに隔離して、実行されないようにする。

 試用したところ、使い勝手はよかったが、他の対策ソフトと比べて特に優れているわけではない。MSEの実力を知るには、検出率やパフォーマンスのテストが不可欠。そのためには、正式版の登場を待つ必要がある。

出典:日経パソコン 2009年7月27日号
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