需要の一巡でテコ入れ策が必要に

 昨年1月に初登場し、飛ぶ鳥落とす勢いでシェアを拡大してきたネットブックの勢いが鈍化している。

 調査会社BCNによると、今年7月のネットブックの販売台数は、ノートパソコン全体の30.8%。6月の33.1%に比べて2.3ポイントほど落としている。この春以降、シェア拡大のテンポは明らかに鈍っており、頭打ちの傾向が見て取れる(図1、図2)。

図1 元々低価格だったネットブックがさらに値下がりしている。A4ノート(図中のスタンダード)の価格も急落しており、7月の販売単価は9万円台になった
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図2 ネットブックの比率は着実に伸びてきたが、最近はシェア3割前後で頭打ちの状態だ。ただし、東芝のdynabook UXのように根強い人気を集める機種もある
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 BCNの道越一郎Webグループシニアアナリスト兼コンテンツリーダーは、ネットブックの販売比率は3割前後で落ち着くだろうと予想する。「もともと、ネットブックは小さいから受けたわけではなく、価格が安いから受けた。だが、現状の画面サイズや性能ではこれ以上広がりにくい」というわけだ。

 調査会社ガートナー ジャパンの蒔田佳苗主席アナリストも、「必要な人にはそろそろ一巡した。年末までは30%前後で推移しそうだ」と見ている。ネットブックの急拡大期は終わり、踊り場に入ったようだ。

 ただし、ネットブックが、価格面でノートパソコン全体に大きな影響を与え続けているのは事実だ。

 ノートパソコンの1台当たりの単価は、昨年1月に12万円台半ばだったものが、今年7月にはとうとう8万円まで下がった。安価なネットブックが急増することで、全体の単価を押し下げたのだ。

 ネットブックに引きずられ、A4タイプのノートパソコンも大きく値を下げている。昨年初めに12~13万円だった販売単価が、7月には10万円を割っている。

 ビックカメラ有楽町店でも、「昨年初め時点では、A4ノートの発売当初の店頭価格が15~16万円程度だったが、今では発売当初から12~13万円。しばらくすると10万円台やそれを切るくらいに下がってしまう」という。

 ネットブック自体の単価も、登場当初から2割以上下落している。当初5万円台後半だったものが、7月時点では約4万円だ。

 一度下がったパソコンの価格は、簡単に戻りにくい。景気悪化の影響でユーザーの可処分所得が減るなか、エコポイントが付く液晶テレビなどに流れる動きも顕著に見られる。当面、価格の下落傾向は続きそうだ。

[注] BCNでは、液晶サイズが12.1インチ以下でAtomなどを搭載したノートを「ネットブック」、同じく12.1インチ以下でCore 2 Duoなど通常のCPUを搭載したものを「スタンダードモバイル」に分類している。スタンダードはそれより大きい画面サイズのパソコンで、A4サイズのものが中心になっている

出典:日経PC21 2009 年 10月号
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