最新型「N700系」車両でサービス開始!

 移動中の新幹線でも安定した無線LAN通信ができる─。JR東海は3月14日から、東海道新幹線の東京~新大阪間で、車内での無線LAN接続サービスを開始した。最新型の「N700系」車両内と、東海道新幹線が停車する17駅の待合室で無線LANが利用できる。

 このサービスの最大の魅力は、トンネル内でも途切れることなく、安定した通信ができること。これまで、新幹線内でインターネットに接続するには、イー・モバイルやNTTドコモなどの携帯端末を使った高速データ通信が唯一の手段だった。しかしこれらは、トンネルに入ると接続が途切れてしまう難点があった。

 一方、今回の無線LANは、線路と並走して敷設されている「漏えい同軸ケーブル」を利用して外部と通信を行う(図1)。このため、障害物に邪魔されることなく常時快適に接続できる。

移動時間にメールやネットができる! N700系新幹線の新サービス

図1 新幹線内と外部とのデータ通信は、線路に並走している「漏えい同軸ケーブル」を使う。アンテナの機能を併せ持ち、車内の移動局と無線で通信できる。ケーブルはトンネル内にも敷設されているため、通信が途切れたり速度が落ちることはない。列車内には複数のアクセスポイントが設置されており、それを利用して無線LAN接続する
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 利用する際は、事前に「ホットスポット」や「BBモバイルポイント」などの無線LANサービスに加入しておく。あとはIEEE802.11b/g規格に対応したパソコンや通信機器で接続すればよい。なお現在、N700系の新幹線は、「のぞみ」を中心に一時間に2~3本発車しており、時刻表で確認できる。

 通信速度は車両全体で約2Mbps。利用者はこれを分け合う。「全乗客の約一割、合計120~130人が利用すると、一人当たり200Kbps前後で通信できる想定」(JR東海広報部の桝谷純平係長)。実際に乗車して通信速度を計測したところ、300~750Kbpsとまずまずの速さだった(図2)。高画質の動画の閲覧には向かないが、ウェブの閲覧やメールならスムーズに利用できた。

図2 東京~名古屋間の新幹線内で実際に無線LANサービスを利用し、通信速度を計測した[注1]。サービス開始直後で利用者が少なかったこともあり、想定されている速度よりも比較的高速で通信できた。一方、高速データ通信は平均して無線LANよりも速かったが、長いトンネルに入ると通信が途切れ、再度接続し直す必要があった
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 通信速度は高速データ通信のほうが上だが、「周波数帯を増やす必要があるため、すぐに高速化する予定はない。まずはN700系の本数を増やして利便性を向上させる」(桝谷氏)という。

 とはいえ、移動中でも途切れずに安定した通信ができるのは大きな強みだ。急な調べものや緊急のメールなどにも対応できるので、仕事に大いに役立つだろう。

 

[注1] CPUが「アトム N270」のネットブックを使用。通信速度は、回線速度計測サイト「goo スピードテスト」での計測結果

[注2]新幹線内や待合室のみのプラン(819円)と、全国で利用できるプラン(1680円)がある。新幹線以外での最大通信速度は54Mbps

[注3]通信端末「D11LC」を利用。1年以上の長期契約をすることで、月額料金は1000円~4980円に、端末料金は980円になる

出典:日経PC21 2009年6月号
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。