BlackBerry Boldには、無線LANが搭載されていますが、これを使うと非常に軽快に動作します。BlackBerry以外にも、これまで、無線LANを搭載してきたモバイル製品はありましたが、あまり満足できる性能を出すことができませんでした。

 その理由の1つは、CPUの性能が低いため、TCP/IPなどのプロトコルの処理に時間がかかってしまって、無線LAN本来のスピードに間に合わなくなってしまうことです。

 さらに、これにオペレーティングシステムの構造が関係してきます。モバイル用のオペレーティングシステムは、メモリー容量などの制限があって、必ずしもプロセッサーの最大性能を引き出すことができるわけではありません。また、モバイルデバイスは、フラッシュメモリーやROMなどでシステムソフトウエアを搭載し、パソコンよりは家電製品に近いポジションにあるため、基本ソフトウエアの進歩は、パソコンほど早くありません。

 もちろん進歩が止まっているわけではありませんが、利用できるメモリーなどの制限は、年々緩和されるものの、パソコンのように急激に安くなるわけでもなく、その中で、基本ソフトウエアを動かさねばならないため、大きく機能を強化することが難しいのです。

 それで、オペレーティングシステムの構造によっては、通信処理の負荷が重くなり、さらに通信速度が下がってしまうことがあるのです。

 しかしBlackBerryの場合、基本的には、サーバー側のサービスと組み合わせて機能を実現する関係から、比較的簡単な構造を取ることができました。このため、基本ソフトウエアとしては、BlackBerry専用の軽量なものが使われています。

 さらに、Boldには、8707hに比べるとかなり強力なプロセッサーが搭載されています。公式には、プロセッサー名などは公開されていないようですが、MarvellのPXA900系列のプロセッサーが使われているようです。クロック周波数(これは公開されています)は、625MHzとなっています。PXA900系のプロセッサーは、携帯電話用の周辺デバイスを統合したプロセッサーです。

 このプロセッサーは、Xscaleと呼ばれ、もともとは、Intelの製品でした。Intelが事業自体をMarvellに譲渡したため、現在はMarvell製品になっているのです。

 Xscaleというプロセッサーは、かつてはStrong ARMと呼ばれていて、旧DEC(Compaqと合併したあと、CompaqがHPと合併)で開発されたプロセッサーです。携帯電話やスマートフォンに広く使われているARM系のプロセッサーですが、高速実行を目的として機能強化されています。

 Xscaleは消費電力を下げるために、実行中は、クロック周波数を変化させて実行を行います。625MHzというクロック周波数は、「Turbo Mode」と呼ばれる状態でのクロック周波数で、普段は500MHz程度で動作しており、特に負荷が重いときのみ、Turbo Modeを利用します。

 強力なプロセッサーを搭載したため、Webブラウザーなども大幅に強化でき、PC用のブラウザーにかなり近い表示が可能になりました。また、添付ファイルも8707hのようにサーバー(BlackBerry Internet Service側)と連携することなく、内蔵アプリケーションで表示が可能になっています。

Boldの無線LAN

 BlackBerry Boldには、無線LANが装備されています。仕様としては、IEEE 802.11a/b/gに対応していて、WPA/WPA2にも対応しています。アクセスポイント側にWPS(Wi-Fi Protected Setup)の機能があれば、プッシュボタン方式で簡単に設定可能です。

 IEEE 802.11nには対応していませんが、基本的な機能は十分です。もっとも、モバイルデバイスでは、CPU速度に限界があるので、802.11nがあっても、最高速度で通信すると、処理が間に合わなくなってしまいます。その点では、性能に見合ったスペックといえるでしょう。

 802.11b/gに対応しているデバイスは少なくありませんが、802.11aに対応しているデバイスはあまり多くありません。802.11gもaも、モバイルデバイスからみると十分高速で、メールやWebブラウズ程度であれば問題はないでしょう。ダウンロードにしても、モバイルデバイスなので、せいぜい数メガバイト程度のファイルになるはずですから、この速度で十分です。

 スマートフォンによっては、無線LANと携帯電話ネットワークで、体感速度があまり差を感じない機種もあるのですが、使ってみると、Blodは、このあたり非常に軽快です。

 前回解説したように、無線LAN経由で必ず接続を行うHotSpot Browserがあるため、公衆無線LANサービスでの利用も問題なさそうです。

 Boldでは、BlackBerry Internet Serviceなども無線LAN経由で利用でき、無線LANのアクセスポイントが登録してあり、通信が可能ならば、携帯電話ネットワークよりも優先的に無線LANを使います。なので、自宅などに無線LANの環境があれば、通信コストを下げることが可能です。ただし、無線通信では、通信相手のそばにいるからといって、必ずしもちゃんと通信ができるとは限りません。このため、アクセスポイントの近くでも無線LANに切り替わらないこともあります。基本的には、接続先を確認して利用すべきでしょう。

 無線LANで接続している場合、ホーム画面で、左側にWi-Fiロゴが、中央の時刻表示の上に、アクセスポイント名が表示されます。このときが、無線LANのアクセスポイントに接続して通信可能な状態です。ちなみにWi-Fiロゴが薄く表示されている場合は、BlackBerry Internet ServiceやEnterprise Serviceに接続できないことを意味しています。

 接続を正確に確認するには、ホームメニューにあるアンテナのアイコン「接続管理」を使います。ここで、接続先などが表示されるほか、「サービスステータス」でさらに詳しく情報を見ることができます。

メインメニューにある、アンテナのアイコンが「接続管理」。ここから、携帯ネットワーク、無線LAN、Bluetoothの管理設定が行える
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接続管理は、小さなウインドウがオーバーレイで表示され、無線の状態を表示する。下のメニューから設定が可能
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接続管理から「サービスステータス」を選択すると、詳細な無線接続の情報が表示できる
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