「とにかくITを規制するというのは、あまりに雑。世界的に見ても、時代錯誤も甚だしい」──。こう憤りをあらわにするのは、楽天の三木谷浩史社長だ。三木谷氏がここまで鼻息を荒くしているのは、2009年6月1日に施行される予定の「薬事法の一部を改正する法律」(通称、改正薬事法)の一部を危惧してのこと。改正薬事法で定められている、薬剤師などによる一般用医薬品のリスク情報の提供手段として、省令で「対面」を原則とする条文が加わる可能性が濃厚になってきたのだ。そうなれば「対面販売」を果たせないインターネットを含む通信販売では、一般用医薬品の多くが販売できなくなる。厚生労働省が2009 年2月の制定を目指す中、楽天などのインターネット販売関連企業はその流れを食い止めようと必死だ。

【約7割がネットで購入不可に?】
「薬事法の一部を改正する法律」の省令案が通れば、風邪薬や胃腸薬など現在販売されている一般用医薬品の約7割がインターネットから消える

 2006年6月14日に公布された改正薬事法は「もともとは昭和36年から何一つ変わっていない薬事法を、安全性やリスクの再定義を中心に見直すのが第一義だった」(日本薬剤師会の副会長生出泉太郎氏)。一般用医薬品はいわゆる「OTC(オーバー・ザ・カウンター)」医薬品とも呼ばれ、薬局やドラッグストアでレジなどの後ろにある医薬品。通常は、薬剤師との相談がないと購入できない医薬品だが、「薬剤師不足が原因で相談できなかったり、すぐに手に届くような配置をしている薬局も多く、リスクの認識がされないまま簡単に消費者が購入できるという現状があった」(生出氏)。

 そこで改正薬事法で新たに定義されたのが、薬局やドラッグストアで購入できる一般用医薬品のリスク分類、そのリスク分類に応じた情報提供の方法、「登録販売員」という資格制度だ。

 一般用医薬品は、その成分によって3種類に分類された(表)。安全性に応じて、特にリスクが高いものを第一類、リスクが比較的高いものを第二類、リスクが比較的低いものを第三類とした。第一類は、今までに一般用医薬品として使用例が少ないなどの理由で、安全性上特に注意を要する成分を含むもの。H2ブロッカー含有薬「ガスター10」などが該当する。第二類は、まれに入院相当以上の健康被害が生じる可能性のある成分を含むもので、風邪薬の「ルル」や漢方処方製剤の「葛根湯」などがそれに当たる。第三類は、日常生活に支障をきたすほどではないが、身体の変調や不調が起こる恐れがある成分を含むもので、例えば殺菌消毒剤の「イソジン」などだ。

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