SCSIはSASへ、ATAはSATAへ移行し、HDDのインターフェースは、完全にシリアル転送へと移行した。シリアル化してもSCSIは従来のコマンドがそのまま使われている。PATAとSATAのケーブルは異なるが、ソフト側からは同様に見えるよう、互換性に配慮されている。

 前回に続いて、HDDインターフェースの変遷を振り返ってみよう。1986年に正式な標準が完成したSCSIは、信頼性が重視される企業向けサーバーやハイエンドのPCで多く使われた。SCSIのコマンド体系が、それらの高い要求を満たすものだったからだ。例えば、コマンドに優先順位を付けて処理する「キューイング」の仕組みを持ち、HDDのモーターを止める、意図的に交代セクターを割り当てる、といったコマンドが使えた。

 しかし、16ビットのデータを同時に高速で送り出すSCSIのアーキテクチャーは、高速化の限界に達していた。そこでSAS(Serial Attached SCSI)が登場した(図1)。SASは、SCSIの規格をそっくりシリアル転送に乗せ、SATA(Serial ATA)との互換性も持たせた。各HDDメーカーは既にSCSI製品の新規開発製造をやめており、SCSIはその役目を終えることとなる。ただし、SCSIのプロトコルはSASに引き継がれており、20数年前にSASIから始まったこのプロトコルは今も現役だ。当時、開発に携わった技術者としてはうれしいことであり、またSCSIの立ち上げに携わったエンジニアの先見の明には改めて驚かされる。

●Serial Attached SCSI対応のHDD
図1 現在主流となったSerial Attached SCSI対応のHDD。左が3.5インチの「Cheetah 15K.5」で、回転数は1万5000回転/分。右が2.5インチの「Savvio 10K.2」で、回転数は1万回転/分。

 SCSIが開発されたのと同じころ、Compaq、Seagate Technology、Western Digitalによって、「IDE」(Integrated Device Electronics)が策定された。

 IDEは現在のATAインターフェースの原型となった規格だ。HDDに対してはコマンドを発行することでタスクを処理し、物理的な制御はHDD内に隠蔽する仕組みを持つ。つまり、「ST-506」の時代に必要だった外部制御回路をHDD内部に取り込み、標準的なコマンドとレスポンスを規定したのがIDEだった。これによって、HDDとPCの役割が明確になり、多くのHDDメーカーやボードメーカーが参入できる地盤が整った。ただし厳格な規格ではなかったため、デバイス間で相性問題が発生した。

 相性問題を解消するため、1988年にHDDメーカーが話し合いを進め、IDE規格の標準化を進めることになった。米国の規格標準化委員会で取り上げられ、1994年、正式にATA(AT Attachment)インターフェース規格が制定された。

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