超低価格ノートパソコン市場は、大手パソコンベンダーだけのものではない。世界最大のマザーボードベンダーであり、大手パソコンベンダーへの製品開発・供給でも知られる台湾Foxconnは、システムインテグレーターなどをターゲットとした超低価格ノートパソコン「QBook」を開発、製品化した。

QBookのエンジニアリングサンプル。8.9インチ液晶を採用し、重さは約1.2kgと軽量だ

 相手先ブランドによる製品開発でも、性能と価格のバランスが重要だ。FoxconnでQBookの製品開発を担当するジェリー・シュー氏(Jerry Hsu、Senior Manager, Personal Computer & Enterprise Products Business Group, CISG-Qbook)は、「標準的な仕様だが、液晶ディスプレイや基板、キーボードなどパソコンのコンポーネントの大半を自社・グループ企業の製品でまかなえる。このスケールメリットを生かして高い品質と低価格を実現している」とアピールする。

QBookの基本コンセプトを説明するジェリー・シュー氏(Jerry Hsu、Senior Manager, Personal Computer & Enterprise Products Business Group, CISG-Qbook)

 Foxconnは、パソコン用のコネクター製造で成長。現在では大手パソコンベンダー向け製品だけでなく、携帯電話やオーディオ機器など幅広いデジタル製品の開発や製造を担当している。独自ブランドでは、マザーボードやグラフィックスボードといったパソコン自作市場向けのパーツ製品を展開しており、日本でもFoxconnブランドで販売している。しかしQBookは、「相手先ブランド向け製品として開発」(シュー氏)しており、自社ブランドによる製品展開は予定していない。

 QBookの基本仕様は、1024×600ドット表示の8.9インチ液晶を採用、2.5インチのSerial ATAハードディスクドライブと最大2GBのメモリー(オンボード1GB+1GB SO-DIMM)を搭載可能。本体重量は約1.2kgだ。バッテリーは3セルタイプを採用しており、駆動時間は約2.5時間。本体外装には、樹脂成形と光沢処理や表面印刷を同時に行うIMR(In-Mold Rolling)技術を使い、質感を高めたという。

QBookの側面。USB 2.0やディスプレイ出力端子などを備える

こちら側には、USB 2.0やEthernet、モデムポートに加え、SDカードやメモリースティックなどに対応したマルチカードリーダースロットを搭載

IMRにより、樹脂の成形、テクスチャー(模様)印刷と光沢仕上げを同時に実現。高品位な外装クオリティーを実現した

独自のLinux OS「fos」を搭載

 QBookは、Foxconnが独自に開発したというLinux OS「fos」を採用している。ハードウエア的な違いを出しにくい超低価格ノートパソコン市場では「ソフトウエア環境の整備が重要」(シュー氏)と判断したからだ。特にこの製品の潜在的な需要が大きいアジア圏で販売を強化するため、「漢字などアジア圏の言語を使っても快適に使えるよう、文字表示の品質向上に多くの時間を割いた」(同氏)という。現状では、サポートが容易なことからWindows XPを採用する顧客も多いと見ているが、より廉価な製品を販売しようとすればfosを採用することになる。その需要を見込んで、「fosは既に30カ国語の対応を済ませた」(同氏)としている。

Foxconnが独自に開発を進めているLinix OS「fos」。30カ国語に対応しており、さらに使用感の向上を図るという

 今後、QBookのラインアップを拡大する予定。10.2インチ液晶を採用したモデルや、タッチパネル液晶ディスプレイを採用した液晶回転式モデルなども開発中だという。IntelもLinuxアプリケーションソフトの充実に力を入れており、fosの開発が順調に進めば、先進的なユーザーインターフェースを実現した超低価格ノートパソコンが誕生する可能性も高い。

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