「最近、コンピューターウイルスの話を聞かないけど、減ったのかな」。そう思っているあなた、誤解してはいけない。話題に上ることが少ないのは、ウイルスが“進化”して、その正体や被害の実態を分かりにくくしているためだ。最新ウイルスの驚異のメカニズムを知れば、対策の重要性を再認識するはずだ。

 「いたずら目的でコンピューターウイルス(以下、ウイルス)を作る時代は終わった。現在では、ウイルスは犯罪者の大事な『商売道具』の一つ。ウイルスを取り巻くビジネスが確立し、多くの人間がかかわっている」(図1)と、米マカフィーの研究所「McAfee Avert Labs」の責任者の一人であるデイブ・マーカス氏は指摘する。

【ウイルスは「闇のビジネス」として確立】
1_px500.jpg
1_px500.jpg

 同様の意見は、今回取材した専門家のすべてから聞かれた。以前は、「世間を騒がせて喜ぶ」「自分の技術力を示す」といった目的でウイルスが作られてきたが、今では金もうけのために作られている。

 状況が変わったのは2004~2005年ごろ。ウイルス感染パソコンを使って迷惑メール(スパム)を送信することや、感染パソコンから盗んだ情報を売ることなどが金もうけになることを、犯罪にかかわる組織・個人が認識し始めたのだ。

 お金が集まるところに犯罪者は集まる。以前は、ウイルス作者とウイルスをばらまく人物は同じだったが、現在では「ウイルスのビジネスは分業制になっている」(マーカス氏)。ウイルスをばらまく人物は、作者からウイルスを購入して感染を広げ、パソコンを乗っ取る。そして、迷惑メール送信者などに有料で貸し出す。感染パソコンから盗んだ情報を売る場合もある。また、ウイルスを作成するためのツールも売買されているという。

 マーカス氏によれば、ウイルスの値段は安いものだと25ドル、高価なものだと500~800ドル程度。追加料を支払えば、通常のソフトウエアと同じように、技術サポートも受けられる。複数のウイルス感染パソコンで構成される「ボットネット」のレンタル料は、75~750ドルが相場。ボットネットを使えば、大量の迷惑メールの送信が可能になる。

 2007年12月、あるウイルス作成ツールの作者とみられる人物2名が、ロシアで逮捕された。彼らに限らず、「ウイルスビジネス」にかかわる人物は、各国でたびたび捕まっている。だが、「逮捕が抑止力になることはない。ウイルスが金になるからだ」(マーカス氏)。

この先は会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が4月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら