OCZ Technologyの販売代理店であるアスクは2012年6月8日、新型SSD「Agility 4」を発売した。OCZが買収したINDILINXのコントローラーチップを採用した製品で、既に販売中の「Vertex 4」の下位モデル。日経WinPCはAgility 4の128GBモデルを入手。性能を測定した。

OCZ Technologyの新型SSD「Agility 4」。
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 Agility 4はSerial ATA 6Gbpsに対応したSSD。64G/128G/256GBの3モデルある。コントローラーチップはVertex 4と同じ「Everest 2」。Marvell Technology Group製コントローラーチップとOCZ製のファームウエアを組み合わせたもので、OCZはEverest 2を「プラットフォーム」と位置付けている。

 公称速度は64GBモデルの読み出しが300MB/秒、書き込みは200MB/秒。128GBモデルはそれぞれ400MB/秒、300MB/秒、256GBは読み出しも書き込みも400MB/秒だ。4KBデータのランダム読み出しは64GBが4万6000IOPS(1秒当たりの読み書き操作回数)、128GBが5万8000IOPS、256GBが4万8000IOPS。書き込みはそれぞれ4万7000IOPS、7万2000IOPS、8万5000IOPSだ。保証期間は3年間。実勢価格は64GBが8000円、128GBが1万500円、256GBが2万3000円程度になっている。

Agility 4 128GBモデルの基板。コントローラーの刻印は「IDX400M00-BC」。Vertex 4と同じだ。
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基板の裏側。NANDフラッシュメモリーはMicron Technology製。
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 比較に使用したのは同じコントローラーを備えるVertex 4 128GBモデルと、Agility 4の前モデル「Agility 3」の120GBモデルだ。Vertex 4の公称速度は順次読み出しが550MB/秒、順次書き込みが420MB/秒。4KBデータのランダム読み出しは9万IOPS、書き込みは8万5000IOPS。Agility 3 120GBのコントローラーチップは「SandForce SF-2281」で、順次読み出しは525MB/秒、書き込みは500MB/秒。ランダム読み出しは2万IOPS、書き込みは5万IOPSとなっている。

 テストには、CPUがCore i7-2600(3.4GHz)、マザーボードはP8Z68 DELUXE/GEN3(ASUSTeK Computer、Intel Z68搭載)、メモリーはDDR3-1333 2GB×2のPCを使用した。OSはWindows 7 Ultimate Service Pack 1 64ビット日本語版で、ストレージの動作モードはAHCI。マザーボードメーカーが用意しているデバイスドライバーをインストールした。 いずれのドライブも、テスト前にSecure Eraseを適用して内容を消去している。

 下は「ATTO Disk Benchmark」(ATTO Technology)のテスト結果だ。Vertex 4が最大で読み出し397MB/秒、書き込み549MB/秒だったのに対し、Agility 4は308MB/秒、422MB/秒だった。ATTO Disk Benchmarkはゼロを読み書きするテスト。Agility 3はデータ転送で圧縮が効いたためか、読み出し515MB/秒、書き込み549MB/秒と高い数値が表示されている。

「ATTO Disk Benchmark」(ATTO Technology)のテスト結果。ATTO Disk Benchmarkはデータとしてゼロを読み書きする。左がAgility 4、右はVertex 4。
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Agility 3におけるATTO Disk Benchmarkの結果。SandForceブランドのコントローラーチップは同じデータを連続して読み書きするときに高い転送速度が得られる。
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 定番ベンチマークソフト「CrystalDiskMark 3.0.1」(ひよひよ氏作)の結果は下の通りだ。Vertex 4は初期のファームウエアではあまり読み書きが速くなかったが、最新ファームウエアでは特に書き込み速度が改善された。Agility 4は、仕様通りVertex 4には及ばないものの、書き込みが順次とランダム512Kで300MB/秒弱に達している。ここでは結果の詳細は掲載しないが、売れ筋の「Crucial m4」(Lexar Media)、「PLEXTOR M3」(Philips & Lite-On Digital Solutions)、「SSD 330 Series」(Intel)と比べると格段に速い(過去のテスト結果の一部は以下の記事を参照:新顔SSD、OCZの「Vertex 4」と東芝「SSDN-3T120B」をテスト)。

「CrystalDiskMark 3.0.1」(ひよひよ氏作)の結果。データはランダム、2000MB。左上がAgility 4、右上がVertex 4、左下はAgility 3。Agility 4の結果はぶれがあり、別のテスト機ではランダム512Kの読み出しが280MB/秒を超えるなどもう少し高い値になることがあった。
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 下は「AS SSD Benchmark」(Alex Intelligent Software)のテスト結果だ。Agilitiy 4はこのテストでも順次書き込みが速かった。「4K」はVertex 4とそれほど大きな差が付いていない。Agility 3からは格段に性能が向上している。

「AS SSD Benchmark」(Alex Intelligent Software)のテスト結果。左がAgility 4、右はVertex 4。
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Agility 3におけるAS SSD Benchmarkの結果。
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 前世代のAgility 3は、最近まで格安SSDの代表格のような扱いで売られていた。今でも8000~9000円で在庫しているショップがあるようだが、5月下旬から6月にかけてCrucial、Intel、PLEXTORといった性能に定評のあるブランドの120GBクラスが一斉に値下がりして1万円以下で買えるようになり、Agility 3のような遅い「格下」シリーズを選ぶ理由が無くなってしまった。

 Agility 4は、同クラスの競合製品と比べて書き込みが速く、魅力的だ。悩ましいのはVertex 4との価格差。Agility 4の128GBモデルが先に紹介した通り1万500円程度なのに対し、Vertex 4の128GBモデルは1万2000~1万4000円。この性能差だったら、Agility 4ではなくVertex 4を選ぶ、という人もいるだろう。Vertex 4と同じ価格帯には性能面でもVertex 4と競合する「SSDN-3T120B」(アイ・オー・データ機器、東芝製SSDを採用)や「PLEXTOR M3P」(Philips & Lite-On Digital Solutions)もある。

 数カ月前だったら、Agility 4の性能が1万円強で手に入るとはとても考えられないが、各社の製品の相次ぐ値下げで今では基準が変わってしまった。Agility 4より読み出しや順次書き込みが速く、本来はVertex 4と競合してもおかしくないSamsungの830も9000~1万2000円となかなか安い。Agility 4が現在の初値からもう一段値下がりすれば、1万円前後の価格帯での新しい定番になるかもしれない。