5万円台から購入できる安価なノートPC、いわゆる「ネットブック」の販売台数が急伸している。ネットブックの先駆けとなったASUSTeK Computerの初代「EeePC」が国内で発売されたのは、2008年1月25日。それから10カ月も経たないうちに、競合製品が続々と登場。量販店では「ネットブックコーナー」を設置して、各製品を比較できる店舗が増えている。

ネットブックの仕様はMicrosoftが決めている?

 MicrosoftからPCメーカーへ向けたWindows XPの出荷は2008年6月30日で「基本的」に終了している。確かに今夏からWindows XPを搭載したPCは店頭では見かけなくなった。しかしながら、なぜかネットブックが搭載するOSは、Windows XPのままなのだ。

 ここには一つのからくりがある。Microsoftは「ULCPC」向けに限定した形で、Windows XPの出荷を続けているからだ。ULCPCは「Ultra Low Cost PC」の略語で、日本語で「超低価格PC」のこと。ULCPCとしてMicrosoftが認定する条件は同社のWebサイトに掲載されている。詳細は上表の通りだ。実際にネットブックとして販売されている製品の仕様から推測すると、明文化されていないものの、ストレージ(HDD)の容量はその後、160GBまで拡大されたようだ。Windows XP搭載のネットブックを裏返してWindowsのライセンスを確認すると、写真のように「ULCPC」と書かれていることが分かる。

Microsoftが定義する「ULCPC」に該当するPCはWindowsXPをインストールして出荷できる。結果としてネットブックの仕様はこの条件の範囲に限られている。
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 ULCPCの条件を満たさない製品は、MicrosoftからWindows XPの提供を受けられない。ULCPC向けのWindowsXPは、一般的なライセンスに比べて、極めて安価に提供されていると考えられる。PCメーカーが競争力のある価格でネットブックを販売するには、ULCPCの条件から逸脱するわけにはいかないのだ。

 とはいえ、ネットブックは構造が単純で、比較的分解しやすい製品が多い。自作PCユーザーであれば、自己責任でメモリーを増設したり、HDDをSSDに換装したりすることで、ULCPCの制限を超えた、よりパワフルなネットブックを生み出すことも可能だ。

なぜネットブックは安価に製造できるのか

 5万円台で販売しているネットブックの内部構造を知るため、台湾版の「EeePC 901」を分解してみた。日本版の「EeePC 901-X」ではないが、同等の構造になっていると推測される。

Eee PC 901のマザーボード表面には、CPUとしてAtom N270や、チップセットのIntel 945GSEなどが搭載されている。国内メーカーのモバイルノートのマザーボードに比べるとかなり大きい。
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 まず気づくのは、マザーボードがきょう体の大きさに合わせたサイズになっていることだ。部品の配置も密度が高くない。裏面を見るとSSDのモジュールは基板上のソケットに取り付ける仕組みを採用している。このきょう体に2.5インチHDDを搭載するには、マザーボードを小型化して、HDD搭載スペースを生み出す必要があるし、高い耐衝撃性も確保しなければならない。SSDを採用したことで全体の設計は楽になっているはずだ。

Eee PC 901に内蔵されるSSDとメモリー(画面上で表示される写真は実物大ではない)。
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 Eee PC 901で採用されているSSDやメモリーのモジュールを実物大で上図に示した。Eee PC 901用のSSDモジュールは、Dドライブ用がバッファローから提供されており、容量を64GBまで増やしたり、より高速なSSDと交換できる。メモリー容量は1GBとなっているが、2GBの製品に挿し替えても動作することが分かっている。一般的なネットブックではSerial ATA接続の2.5インチHDDが採用されており、保証外の行為となるが、より容量の大きなHDDに入れ替えたり、SSDに換装したりできる。

 国内メーカーが販売するモバイルノートは、1g単位での軽量化を目指して、より小型で高密度な基板を用いるケースが多い。きょう体もできるだけ小さく軽く作るため、マグネシウム合金のような高価な素材を使ったり、強度に影響しない範囲で穴を開けて軽量化したりすることが多い。バッテリー動作時間を延ばすため、パーツごとに電流を遮断する仕組みなども搭載する。

 ネットブックには、そこまでの作り込みはなされていない。だから大きさの割に重いし、バッテリー動作時間もそれほど長くない。低価格で販売するために組み合わせたパーツ構成が、結果的に小さなノートPCとして成立しているのだ。

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