情報入試研究会と情報処理学会情報処理教育委員会は2013年5月18日、高等学校の普通教科「情報」の模擬試験「第1回大学情報入試全国模擬試験」を実施した。個人受験は、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5会場を用意。このほか、高等学校6校が団体受験で参加している。参加費は無料。教科「情報」の大学入試問題について、受験生にイメージを理解してもらうとともに、どのような難易度の問題をどのような範囲から出題するのかを大学に検討してもらうことを目指して実施したという。

 高等学校の教科「情報」は、2003年に新設となった必履修の普通教科。コンピューターや通信の仕組み、インターネットやソフトウエアの利用方法、情報モラルなど幅広い内容を扱っている。現行の学習指導要領では、「社会と情報」「情報の科学」の2科目がある。しかし、教育現場では、「実際には授業を実施していない」「パソコンの実習などが中心で本来の内容を扱わない」といった問題が生じている。この大きな理由として、入試で教科「情報」を扱う大学が少ないことが指摘されている。

 今回の模擬試験の時間は90分。「社会と情報」と「情報の科学」の共通問題、「社会と情報」、「情報の科学」の3つの分野から出題した。模擬試験の問題と解説は、情報処理学会初等中等教育委員会が2013年10月26日に開催するイベント「高校教科『情報』シンポジウム2013秋」(ジョーシン13)で公開。模擬試験の問題の公開までに期間を設けることで、高等学校などが今回の問題を使って独自に模擬試験を実施できるようにする。

 情報入試研究会は、大学入試での教科「情報」の扱いについての問題に関心を寄せる識者らが集まって、2012年1月に発足した団体。代表を務める早稲田大学理工学術院基幹理工学部の筧捷彦教授は、「『情報』は、パソコンの使い方だけを扱う教科ではない。また、大学の教員の多くは、『情報』が入試に耐える教科だと思っていない。模擬試験を実施することで、教科『情報』の位置づけを、高等学校の教員だけでなく、大学の教員や社会の人々に知ってもらいたい」と話す。

 実際の大学入試の出題教科に「情報」を採用する動きも進みつつある。明治大学情報コミュニケーション学部は、2013年度に入学した学生を対象に、「情報」を出題する入試方式を新たに設けた。慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)に拠点を置く総合政策学部と環境情報学部は、2016年度に入学する学生を対象にした入試から「情報」を導入する予定だ。

 今回の模擬試験を大学入試に活用する動きも出ている。専修大学ネットワーク情報学部では、「今回の模擬試験の結果を、9月から10月にかけて実施するAO入試の参考データとして扱う」(松永賢次教授)という。