教育におけるコンピューター活用をテーマにした「2012 PCカンファレンス」の中で2012年8月4日、「すぐそこまできた『未来の教室』を創造する」と題した国際シンポジウムが開催された。特定の学年の全ての生徒にパソコンを配布したオーストラリアニューサウスウェールズ州や、総務省が手がける「フューチャースクール推進事業」などの事例を基に、担当者が成果や問題点を発表した。司会は酪農学園大学環境システム学部地域環境学科フィールド情報学研究室の森夏節教授。助言者として早稲田大学教育・総合科学学術院教職研究科の武沢護客員准教授も参加した。

司会を務めた、酪農学園大学環境システム学部地域環境学科フィールド情報学研究室の森夏節教授

早稲田大学教育・総合科学学術院教職研究科の武沢護客員准教授

 オーストラリア側として、レノボ・オーストラリア・アンド・ニュージーランドでアカウントエグゼクティブを務めるデビッド・ロング氏とニューサウスウェールズ州政府情報教育担当の葉子・ニシムラ・パーク氏が登壇した。ニューサウスウェールズ州では、「DER(デジタル・エデュケーション・レボリューション)」として、公立学校の9年生から12年生(日本での中学校3年生から高校3年生に相当)に1人1台のノートパソコンを提供している。

 デビッド・ロング氏は教育市場への取り組みについて、ニューサウスウェールズ州の学生向けにノートパソコンを32万台、デスクトップパソコンを50万台、教員向けノートパソコンを2万8000台供給した点を挙げ、教育市場でシェアがトップであるとアピール。同社のパソコンは扱いの荒さに対する堅牢性を備えていることや、マイクロソフトと協力してOSの起動時間を短縮して、授業時間のロスを減らす工夫をしたことなどを紹介した。

レノボ・オーストラリア・アンド・ニュージーランドのアカウントエグゼクティブ デビット・ロング氏

レノボは教育市場で高いシェアを持つ
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 ニシムラ氏はDERの詳細を解説。州におけるDERの1年分の予算9000万オーストラリアドル(1オーストラリアドルが77.14円として約69億円)のうち、ノートパソコンの購入費用が3320万オーストラリアドルなのに対し、IT関連のサポート人員と消耗品が3780万オーストラリアドルと、運用やサポートにより多くの予算を割いたことを報告した。全員がノートパソコンを持っている効果として、教科書の電子化により重い教科書を持ち歩かなくて済む、学習が速い生徒により高度なタスクを与えやすい、調べ物が容易になるなどを挙げ、「教師が一方的に知識を伝える形から、共同学習する形になったことが最も重要な変化だった」(ニシムラ氏)とまとめた。

ニューサウスウェールズ州政府情報教育担当の葉子・ニシムラ・パーク氏

生徒1人に1台のノートパソコンを配る「DER」。教師から一方的に知識を伝えるのではなく、協業する形が生まれた点が重要な変化だったという
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