エヌビディアは2012年3月29日、自社のARM系CPUである「Tegra 3」の報道関係者向け説明会を開催した。Tegra 3は、同社が2011年11月に発表した、スマートフォンやタブレット端末などに向けたARM系CPU。富士通、韓国LG、台湾HTC、中国ZTE、中国TianyuがTegra 3を搭載したスマートフォンの発売を予定する。タブレット端末も東芝、富士通、レノボ、エイサー、台湾ASUSTeK Computer、中国ZTEなどが開発している。

 Tegra 3は、CPUに5つの演算機能(コア)を内蔵する。そのうち1つが、動作周波数が低い(500MHz)代わりに消費電力が少ない「Companion Core」になる。5つのうち最大4つのコアを駆動して処理する。例えば、負荷の大きい3Dゲームでは4つの通常コア(1.4GHz)を使用するが、Webサイトの閲覧では1つの通常コア(シングルコアでは動作周波数が1.5GHzに向上)を、動画や音楽の再生ではCompanion Core1つを使う。

 これらの工夫により、Tegra 3はデュアルコアCPUである「Tegra 2」よりも、最大61%消費電力を減らせるという。このほか、液晶のバックライトの輝度を落としても映像が暗く見えないように補正する「PRISM Display Technology」や、タッチパネルの演算をCPU内で行う「DirectTouch」という技術でも消費電力を抑えている。グラフィックス性能もTegra 2のおよそ3倍になった。

 説明会で同社が強くアピールしたのが、ソフトウエアや周辺機器メーカーとの協業が進んでいること。2012年には、ゲームを中心にTegra 3に最適化したアプリが多数登場するという。説明会では、2012年春に登場予定の「ソニック・ザ・ヘッジホッグ4 エピソードII」(セガ)など、PlayStation 3やXBOX 360用のゲームが、タブレット端末に接続したプロジェクターやコントローラーで楽しめるというデモが実施された。ゲーム以外にも、フォトレタッチソフトの「Snapseed」(米Nik Software)、動画編集ソフトの「PowerDirector」(サイバーリンク)やリモートデスクトップソフトの「Splashtop Remote Desktop HD」(スプラッシュトップ)などのソフトが、Tegra 3に最適化されるという。

 2012年3月7日に米アップルがiPadを発表する際、iPadのCPUである「A5X」のグラフィックス性能がTegra 3の4倍高速であるというベンチマーク結果を公表した。このことについて、エヌビディア テクニカル・マーケティング・エンジニアのスティーブン・ザン氏は、「とあるグラフィックスベンチマークで数倍速かったというのは事実。ただ、ベンチマークソフトによってはTegra 3のほうが速いという結果が出る。それに、速いからグラフィックがきれいとは限らない。実際にiPadとTegra 3搭載機で同じゲームを動かしてみると、Tegra 3のほうが優れている。エヌビディアは、パートナーと共同して、さまざまな最適化をすることで、総合的なユーザーエクスペリエンスを上げることを目指している」と語った。