ディスプレイサーチは2011年8月18日(米国時間)、2011年4~6月の世界市場における「モバイルPC」(ノートパソコン、タブレット端末など)の出荷実績を発表した。米アップルがタブレット端末「iPad」シリーズの販売好調により、米ヒューレット・パッカード(HP)を抜いて首位となった。

 同社調べによると、4~6月のモバイルPCの出荷台数は6440万台(対前年同期比28%増)。世界シェア上位5社は、(1)アップル(出荷台数1360万台、シェア21.1%)、(2)HP(970万台、15%)、(3)米デル(750万台、11.6%)、(4)台湾エイサー(700万台、10.9%)、(5)中国レノボグループ(480万台、7.5%)――となっている。

 モバイルPC全体の牽引役になっているのはタブレット端末で、4~6月の出荷台数は1640万台。対1~3月比で70%増、対前年同期比では400%以上の大幅な増加となった。このタブレット端末の中でも圧倒的なのはアップルの「iPadシリーズ」。新モデル「iPad 2」の発売効果もあり、4~6月に1070万台を出荷した。これは、同時期にアップルが出荷したモバイルPC1360万台の約8割に相当する。iPadシリーズ以外のタブレット端末の4~6月の出荷台数は560万台で、対前年同期比25%増となっている。

 一方、ノートパソコンの4~6月の出荷台数は4800万台で、対前年同期比で2%増加している。特に韓国サムスン電子が対前年同期比44%増、デルが同33%増と好調であった。デルについては、対1~3月比でも27%増と高い伸びを示している。これについて同社は、企業が法人向けノートパソコンに対する設備投資を再開したことが要因にあると分析している。

 HPは8月18日(米国時間)に、「webOS」(旧Palm OS)を使ったタブレット端末やスマートフォンの開発打ち切りを表明している。これについてディスプレイサーチ ディレクター・IT市場担当アナリストの氷室英利氏は日経パソコンの取材に答え、「HPはハードウエア指向から脱却できなかった」と指摘する。「webOSを採用したタブレット端末ということは分かったが、それで何をしたいのか、消費者がどう使えるようにするのか、という戦略がHPの社内にあったのか疑問。Palm OSの買収当初はそうした戦略があったのかもしれないが、最近は誰もそうしたメッセージを発しておらず、単なる非主流のOSを搭載したハードウエアというだけで留まっていた」と分析している。

 HPが併せて発表した、パソコン事業の切り離しの検討について氷室氏は、「HPが採っていた、部材を大量に調達し、大量生産することでコストを下げるという戦略は、パソコンがここまでコモディティ化すると競合他社でもある程度実現可能になっており、HPにとっては差異化がしづらくなっていた。また、日本企業のパソコン事業ならば利益率2~3%でも事業継続という判断があるだろうが、米国企業において5%程度の利益率は許されないという事情もあるだろう」と指摘。今後については、「HPのような巨大企業の中でパソコン事業を維持するより、意思決定を迅速化するよう別会社として切り離し、新興国でニーズに合った製品をタイミング良く投入していくことが生き残る道と考えられる。また、パソコンメーカー同士の合従連衡もさることながら、パソコンメーカーとコンテンツ企業との戦略的提携や事業統合といった可能性も視野に入れる必要がある」と指摘する。