KDDI(au)は2011年2月28日、モバイルWiMAXと3Gのネットワークに両対応したAndroid 2.2搭載スマートフォン「HTC EVO WiMAX ISW11HT」(台湾ハイテクコンピューター製)と、Android 3.0搭載タブレット機「MOTOROLA XOOM Wi-Fi TBi11M」(米モトローラ・モビリティー製)を発表した。

 HTC EVO WiMAXは、KDDIが販売するスマートフォンとして初めてテザリング(スマートフォンをインターネット接続モデムとして使う機能)に正式対応している。製品発表の記者会見では、KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏が「テザリングは今後、モバイルWiMAX対応のスマートフォンで標準機能としていく」と表明。「3G回線を使ったテザリングでは帯域制限をかけるが、モバイルWiMAXでは無制限で使える。UQコミュニケーションズのモバイルWiMAX網は既に政令指定都市レベルまで整備されており、トラフィックはほとんどモバイルWiMAXで流れるとみている」と展望した。モバイルWiMAX網によるスマートフォン通信やテザリング機能を特徴として打ち出し、スマートフォンでテザリング機能を提供していないNTTドコモやソフトバンクモバイルとの差異化を図っていく方針だ。

WiMAX対応“ガラスマ”は――「5月の発表会を楽しみに」

 KDDIとして最初のWiMAX対応スマートフォンが海外メーカー製のいわゆるグローバル端末であったことに関連し、会見終了後、記者から日本メーカー製のWiMAX対応スマートフォンの投入時期について質問が出た。これに対して田中社長は「具体的なことは言えない」としつつ、「5月の連休明けに夏商戦向け新製品の発表会がある。その頃を楽しみにしてほしい」とコメントした。

プラス525円のWiMAX料金、「少し減収になっても良い」

 HTC EVO WiMAXユーザーが3GとモバイルWiMAX回線の両方を使う際の月額使用料は、3Gのパケット定額制プラン「ISフラット」より一律525円増し(モバイルWiMAX網の利用実績がない月は0円)となる。UQコミュニケーションズにはKDDIも資本参加しているが、KDDIがUQからモバイルWiMAX回線を借り受ける際の提供条件は、UQから他社への貸し出し時と同等という。

 このため質疑応答では、「一律525円増しという価格設定では3GのデータARPUを減らす結果となり、収支に影響が出るのではないか」という質問が記者から出た。これに対し田中社長は「auユーザーにわくわく感を届けられるのであれば、少しくらい減収になってもよいと考えている」と回答し、当面は採算性よりも契約者数の増加や満足度の向上に重点を置いたサービス展開とする考えを示した。

公衆無線LANは「トラフィック分散に不可欠。エリアを広げたい」

 田中社長は、公衆無線LANサービスの拡充にも触れた。NTTドコモは自社で公衆無線LANサービス「Mzone」を提供。ソフトバンクモバイルは自社で「ソフトバンクWi-Fiスポット」を、さらに系列のソフトバンクテレコムで「BBモバイルポイント」を展開している。一方でKDDIは、地下駅や地下街などでUQ WiMAXのエリアを補完する公衆無線LANサービス「UQ Wi-Fi」と、2010年10月に連結子会社化したワイヤ・アンド・ワイヤレスの「Wi2 300」を持っているが、サービスエリアはNTTドコモやソフトバンクに及んでいない。

 こうした現状について問われた田中社長は、「スマートフォンが増えたりテザリング機能を提供したりすると、移動体通信のネットワークだけではトラフィックをさばけなくなる。公衆無線LANサービスへのオフロード(負荷分散)をやらねばいけない。公衆無線LANサービスのエリアを広げていきたい」と語り、UQ Wi-FiやWi2 300のアクセスポイントを増設していく考えを示した。また、東京メトロの駅構内でUQ WiMAXとUQ Wi-Fiがいずれも使えない点については「善処したい」とだけ語り、課題として認識していることは示しつつ、具体的な対策については示さなかった。

CDMA2000版iPhoneは「肯定も否定もしない」

 米国では、大手通信事業者のベライゾン・ワイヤレスが、通信方式にCDMA2000を採用した米アップルの「iPhone 4」を2011年2月に発売した。これに関連して日本でも、CDMA2000方式を採用するKDDIによるiPhoneの販売を期待する声がユーザーの間で出ている。

 これについても「グローバル端末の日本市場への投入は容易になったのか。例えばCDMA版iPhoneはどうか」という質問が出た。田中社長は「今回発表した日本版のHTC EVO WiMAXは米国版とほとんど差がなく、ソフトのビルド番号が違う程度。グローバル端末を日本市場に導入することは、今ではほとんどハードルがなくなったといえる。しかし、具体的にどんな製品が入ってくるかはセンシティブな話なので回答を控えたい」と明言を避けた。

 「CDMA2000版iPhoneを多くのユーザーが待っている。出さないならばその旨をきちんとユーザーに伝えた方が良いのでは」と問いかけられた田中社長は、「何回も言っているがノーコメント。ノーコメントというのは、肯定も否定もしないということ」と、笑みを浮かべつつゆっくりと答え、引き続き何らかの方法で発売を模索していることを示唆した。