AMDは2010年10月20日、台湾・台北市で、技術者向け会議「AMD Technical Forum and Exhibition 2010」(AMD TFE 2010)を開催した。同会議は、PCやグラフィックスボードの基板や電源、熱に関する設計、最新のメモリー技術などをパートナー企業に向けて紹介するのが目的。2005年から毎年、台北で開催されている。今年は「Together Creating Tomorrow's Experience」(ともに次世代のPC体験を作ろう)がテーマ。AMDは、年内にも量産出荷を始める、CPUとグラフィックス機能を同じダイ(半導体本体)に統合した「APU(Accelerated Processing Unit)」プラットフォームや、次世代グラフィックスチップについて明らかにした。

第2世代のDirectX 11対応チップ「Northern Islands」を間もなく投入

 基調講演には、AMDでグラフィックス製品を統括するマット・スキナー副社長が登壇した。スキナー氏は、「Internet Explorer 9」や「FireFox 4」などの最新Webブラウザーでは、グラフィックスチップによるアクセラレーションをサポートしており、グラフィックス機能がさらに重要になっていると指摘。ところが、低価格機向けPCなどで多く採用されている、CPUやチップセットに内蔵しているグラフィックス機能は、単体のグラフィックスチップに比べて性能だけでなく機能面でも劣っている。AMDは、2011年に投入を計画しているAPUで「DirectX 11対応のグラフィックス機能をCPUと統合して、単体のグラフィックスチップと同等の機能を実現することで、ユーザーに違和感の無いグラフィックス体験をもたらせる」とした。単体グラフィックスチップの進化に併せ、APUに統合する機能も進化させ続けるという。

 スキナー氏はさらに、「次世代グラフィックス製品群のNorthern Islands(ノーザンアイランズ:開発コード名)を22日に正式発表する」として、Northern Islandsファミリーのグラフィックスチップを搭載したボードを披露。第2世代のDirectX 11グラフィックスチップを市場に投入することで、2010年第2四半期の時点で、DirectX 11世代のグラフィックスチップ市場で90%のシェアという優位性を保ちたい考えを示した。

AMDでグラフィックス製品を統括するマット・スキナー副社長は、開発コード名「Northern Islands」を搭載したボードを披露した。
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スキナー氏は、DirectX 11グラフィックス機能を統合するAPUは、これまでのチップセット内蔵グラフィックスや、CPU内蔵グラフィックス(図中のEPG、Embedded Processor Graphics)と単体グラフィックスチップとの機能差を無くし、より優れたグラフィックス体験をユーザーにもたらすとアピール。
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順調に開発が進むAPU

 続いて登壇したAMDでクライアント向けCPU/プラットフォームを統括するクリス・クローラン副社長は、APUの現状についてアップデートした。AMDは、省電力性能を追求した新アーキテクチャーのCPUコア「Bobcat」(ボブキャット、開発コード名)を採用し、DirectX 11対応のグラフィックス機能を1つのダイに統合した「Zacate」(ザカーテ、同)の量産を年内に始める。2011年初頭にはメーカーから搭載製品が出荷されるとし、Zacateの最新デモを公開した。

 デモでは、DirectX 11の開発者向けキットに入っている多体問題の物理演算(N-Body演算)プログラムを使い、IntelのCore i5-520Mと性能や消費電力を比較。Core i5で8.81GFLOPSのところ、Zacateでは21.8GFLOPSと約2.5倍になるにもかかわらず、システム全体の消費電力はCore i5-520Mの38.3Wに対し、Zacateが19Wと半分の消費電力にとどまることを示した。

「Bobcat」(開発コード名)コアを使った「Zacate」(同)を、IntelのノートPC向けCPUと比較した。デモでは、DirectComputeによるN-Body演算を例にして、浮動小数点演算性能を比較。ZacateがCore i5-M520の約2.5倍の性能を実現するとアピールした。
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N-Body演算時の消費電力も比較した。Zacateを搭載した「Brazos」(ブラゾス、開発コード名)プラットフォームは、Intelプラットフォームの半分の消費電力な上、APUが内蔵するDirectX 11対応のグラフィックス機能を演算に使うため、CPUの負荷も低いと説明した。
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 ZacateのTDP(Thermal Design Power、熱消費電力)は18Wで、AMDは低価格ノートパソコンや液晶一体型パソコン市場に展開する意向だ。AMDは、Zacateと半導体やプラットフォームを共用する、より消費電力の低い(TDPは9W)「Ontario」(オンタリオ、開発コード名)も2011年第1四半期に市場投入する。Ontarioは、ネットブックや省スペースデスクトップパソコンなどの用途をターゲットとする。

Bobcatコアを採用するAPUとして、TDP18WのZacateとTDP9WのOntarioの2製品が用意される。
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ZacateとOntarioのプラットフォームとなるBrazosは、バッテリーで丸1日動作するノートパソコンなどを可能にするという。
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