インテルが主催するコンピューター技術者向け会議「Intel Developer Forum 2010 San Francisco」が、2010年9月13日(米国時間)に米サンフランシスコで開幕した。同日午前に行われた、上級副社長兼IAアーキテクチャー担当ゼネラルマネージャーのデイビッド・パルムッター氏による基調講演において、開発中の次期CPU製品群「2011 2nd Generation Core Processor」(開発コード名Sandy Bridge)の詳細を発表、併せて開発中のSandy Bridgeを搭載した試作機によるデモを多数披露した。

 Sandy Bridgeでは、単一のダイにCPUコアとグラフィックスを集積。CPUコアとグラフィックスが同じ3次キャッシュを共有し、リング状の内部接続を採用することで、CPU-グラフィックス間のデータ送受信を高速にできるようにする。Blu-ray Discでフルハイビジョンの3D映像を再生するなど高負荷の映像処理でも、別途グラフィックスチップを用意することなくSandy Bridge単体で実行でき、消費電力の低減や小型のノートパソコンへの3D機能実装といった効果が見込めるとする。

 Sandy Bridgeでは、CPU全体の消費電力や発熱量に余裕がある場合に一部CPUコアの動作周波数を通常より引き上げる「Turbo Boost」機能を改良。Turbo Boostは現行のCore iシリーズ(開発コード名Nehalem/Westmere)で初めて搭載した技術だが、Sandy Bridgeで実装したTurboBoostは「第2世代」と位置づけており、CPU-グラフィックス相互間での柔軟な電力制御、周波数制御を主眼に置いている。グラフィックスの処理負荷が軽い場合にCPUコアの動作周波数を上げたり、CPUコアがアイドル状態のときにグラフィックスの動作周波数を上げたりといった制御ができる。

 基調講演では、Sandy Bridge搭載のノートパソコンと現行のCore i7搭載のノートパソコンを用意。HDR画像作成ソフト「Dynamic Photo HDR」で複数のHDR画像を生成するバッチ処理のデモと、映像処理ソフト「Media Show Espresso」を使いハイビジョン映像を携帯機器向けの標準画質の映像に変換するデモを披露した。いずれも、Sandy Bridge搭載機では現行Core i7搭載機より2倍以上の速さで処理を完了できるとした。映像再生だけでなく、こうした編集やトランスコードなどの処理でもアーキテクチャー刷新による性能向上効果が大きいとする。

 Sandy Bridgeはこのほか、新たな命令セット「AVX」(Advanced Vector Extensions)を追加する。浮動小数点演算を高速化して、3次元CGのレンダリングなどを従来より短時間にできるようにする。

 Sandy Bridgeのうち、パソコン向けCPUのブランドネームは現行のNehalem/Westmereと同じ「Core i7」「Core i5」「Core i3」を採用。2011年初めには、Sandy Bridge搭載パソコンが市販されるとしている。なお、製品のロゴマークは現行Core i7/i5/i3と異なるものを使用する。

 デスクトップ用Sandy Bridgeは、TDP(熱設計消費電力、実使用上の最大消費電力)が65Wの通常版に加え、TDPが45W/35Wの低消費電力版もラインアップに加える。45W/35W版では、製品添付のCPUクーラーを65W版より小型のものとするほか、45W/35W版向けにMini-ITX規格のマザーボードを用意するなどして、いわゆる“弁当箱サイズ”の小型デスクトップパソコンをSandy Bridgeベースで開発できるようにする。

サーバー向けSandy Bridgeも実演、「映像性能生かし、セキュリティシステム構築できる」

 サーバー向けのSandy Bridgeでは、暗号化アルゴリズムであるAESの処理を高速化する命令セット「AESNI」(AES New Instructions set)を備える。遠隔地間を結ぶテレビ会議などの際に、映像や音声の品質を確保しつつ通話内容をリアルタイムで暗号化するシステムがSandy Bridgeベースのサーバーやワークステーションで簡単に構築できるとする。パルムッター氏の基調講演ではこのほか、Sandy Bridgeの備えるグラフィックス機能を業務用に展開する例として、道路に設置した定点カメラで通行人を撮影し、通過した人数をリアルタイムで計測する交通量調査システムや、不審物や炎を検出して警告を発する監視カメラシステムなどのデモを披露した。

 基調講演では、サーバー向けSandy Bridgeのロードマップも公表。まず2011年前半に1ソケット向けの低価格モデル「Sandy Bridge-H2」を出荷。同年後半には2ソケット向けの中位モデル「Sandy Bridge-EP」を出荷する。2012年以降、4ソケット以上の大型サーバー向け最上位モデル「Sandy Bridge-EX」や、22nmプロセスを採用した「Ivy Bridge」のサーバー向けモデルなどを順次投入していく。


■変更履歴
当初の記事では、CPU内部構造についての説明の中で「同社『Ring』と呼ぶインターコネクトで接続することで」と記述しましたが、より適切に「リング状の内部接続を採用することで」と修正しました。また、Turbo Boostに関する説明で、CPU-グラフィックス間の制御の仕組みについて、より詳細に補足しました。[2010/9/14 19:55]