文化庁長官の諮問機関である文化審議会 著作権分科会は2010年5月21日、権利制限の一般規定(いわゆる日本版フェアユース)の一部導入案を盛り込んだ中間取りまとめについて審議した。一般規定については、早ければ5月24日にも国民からの意見募集(パブリックコメント)を始める予定。著作権分科会の下部組織である法制問題小委員会(法制小委)で7月以降に審議を継続し、2010年秋にも法制小委の見解をまとめる。著作権分科会では、2011年1月までをめどに最終報告を決定する。

 中間取りまとめは、法制小委内の「権利制限の一般規定ワーキングチーム」(WT)が1月までにまとめた素案を基に、法制小委で詳細をまとめたもの。大筋ではWTの素案に沿った形となっているが、詳細な規定に修正を加えている。条文上は侵害となるが実質的に権利者に被害を及ぼさない「形式的権利侵害行為」やそれに準ずるものについて、一般規定を適用する内容である。推進派の委員らは、インターネット関連のベンチャー企業の創出を育成する狙いから、著作物の新たな二次利用形態が出てきたときに幅広く一般規定を適用可能にするよう求めていたが、中間取りまとめの案では適用範囲を限定的なものにしている。

 中間取りまとめの案では、一般規定を適用するケースについてA類型~C類型という3つの類型を示している。

 A類型は「その著作物の利用を主たる目的としない他の行為に伴い付随的に生ずる当該著作物の利用であり、その利用が質的または量的に社会通念上軽微であると評価できるもの」。具体的には、写真や映像を撮影している際、芸術作品などがフレーム内に入ってしまうという「写り込み」などが該当する。

 B類型は「適法な著作物の利用を達成しようとする過程において合理的に必要と認められる当該著作物の利用であり、かつ、その利用が質的または量的に社会通念上軽微であると評価できるもの」。具体的には、音楽CDの制作過程でマスターテープに録音する行為や、漫画のキャラクターを商品化する際の企画段階における原作の複製行為などを指す。

 C類型は「著作物の種類および用途ならびにその利用の目的および態様に照らして、当該著作物の表現を知覚することを通じてこれを享受(見る、聴くなど)するための利用とは評価されない利用」。具体的には、映画や音楽などの再生技術を開発・検証するため、素材の一つとして必要な範囲で録音・録画する行為や、ネットワークサービスを提供する際に、サーバーや端末などの間で起こるデータの複製などを挙げている。

 これらの3類型を定めた上で、権利者の保護にも配慮し「社会通念上、著作権者の利益を不当に害しない利用であること」を一般規定の要件としている。また、パロディー作品については一般規定ではなく、個別規定の改正や新設を今後検討すべきとしている。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は登録月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら