AMDは2010年4月27日、デスクトップPC向けの最上位CPUとして、Phenom II X6 1090T Black EditionとPhenom II X6 1055Tを発表した。AMDとしては初の6コアCPUとなる。動作周波数は1090Tが3.2GHz、1055Tが2.8GHz。新たに動作周波数を自動的に高める「Turbo CORE」を実装した。発売日は4月29日。発表に先立ち、一部のパーツショップでは27日未明から予約販売を実施。実勢価格はPhenom II X6 1090T Black Editionが3万5000円、Phenom II X6 1055Tが2万2000円となっている。

Phenom II X6シリーズのダイ写真。ダイサイズは346mm2だ。
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Phenom II X6 1090T Black Edition。動作周波数は3.2GHz。Turbo CORE時は3.6GHzまで上昇する。OPN(Ordering Parts Numbers)はHDT90ZFBK6DGR。
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 基本設計は従来のPhenom IIシリーズと同じで、コアごとに512KBの2次キャッシュと全コアで共有する6MBの3次キャッシュを備える。パッケージはAM3。DDR3-1333かDDR2-1066をデュアルチャンネルで利用可能だ。チップセットとは4GHzのHyperTransportで接続する。

 Turbo COREは3コア以上がアイドル状態になったときに、3コアのみ動作周波数を高める機能。Phenom II X6 1090T Black Editionは最大3.6GHz、同1055Tは3.3GHzで動作する。3コアと6コアの切り替えのみで、標準状態では1コアや2コア、4コア、5コアがアクティブ時に、アクティブなコアだけ動作周波数を上げることはできない。

新機能「Turbo CORE」の説明図(AMDの資料から抜粋)。3コア以上がアイドル状態の際、TDPの枠内で残りの3コアの動作周波数を自動的に高める。
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 Phenom II X4 965 BEと同じく、製造プロセスは45nmでTDP(熱設計電力、実使用上の最大消費電力)は125W。ダイサイズは346mm2。4コアCPUのPhenom II X4 965 Black Editionは258mm2だった。Phenom II X6 1090T Black Editionは、CPUの動作倍率を自由に変えられる。従来のPhenom IIシリーズのモデルナンバーは3けただったが、6コアでは4けたを採用。末尾の「T」はTurbo CORE対応を示す。

●Phenom II X6 1090T Black Edition/1055Tの主な仕様
ブランド名Phenom II X6
モデルナンバー1090T Black Edition1055T
動作周波数3.2GHz2.8GHz
HyperTransport4GHz(2GHzのDDR)
1次キャッシュ各コア(命令64KB+データ64KB)
2次キャッシュ各コア512KB
3次キャッシュ共有6MB
省電力機能Cool 'n’Quiet
製造プロセス45nm
TDP125W
ダイサイズ346mm2

 同時にAMDは、8シリーズの新チップセット「AMD 890FX」「AMD 880G」「AMD 870」も発表した。2010年3月2日に発表済みの「AMD 890GX」と合わせて、8シリーズは4製品となった。

 AMD 890FXはグラフィックス機能を内蔵しない最上位モデル。合計42レーンのPCI Expressスロットを備え、グラフィックスボード2枚をそれぞれPCI Express 2.0 x16でフルに接続して「ATI CrossFireX」が利用できる。AMD 880GはAMD 785Gの後継でAMD 890GXの下位モデル。内蔵グラフィックス機能の名称は「ATI Radeon HD 4250」で、AMD 785GやAMD 890GXと同じく動画再生支援機能の「UVD 2.0」を備える。AMDは詳細を明らかにしていないが、マザーボードメーカーからの情報によるとグラフィックス機能の動作周波数は560MHz(AMD 890GXは700MHz)。AMD 870はAMD 890FXの下位モデル。合計22レーンのPCI Expressスロットを備える。ATI CrossFireXには対応しない。AMD 890FXのみ、IO仮想化の機能「IOMMU 1.2」を備える。

AMD 890FXのブロック図(AMDの資料から抜粋)。合計42レーンのPCI Expressスロットを備える。サウスブリッジの「SB850」とはAlink Express IIIで接続する。
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 対応するサウスブリッジはAMD 890GXと同じく「SB850」。AMD 870は今後登場予定の「SB810」にも対応する。SB850との接続には転送速度が片方向2GB/秒(双方向4GB/秒)の「Alink Express III」を採用する。合計6ポートのSerial ATA 6Gbpsをサポートし、Ultra ATA/133×1、Gigabit Ethernet対応のMAC(論理層)を搭載。USB 2.0のポート数は14個となる。サウンドはHD Audio対応。PCI Express 2.0 x1を2本備える。PCIもサポートする。RAID0/1/0+1/5も利用可能。

●AMD 8シリーズチップセットの主な仕様
AMD 890FXAMD 890GXAMD 870AMD 880G
対応ソケットSocket AM3、Socket AM2(AM2+)
CPUとの接続Hyper Transport 3.0(最大5.2GHz/秒)
PCI ExpressPCI Express 2.0 v1.0
PCI Expressのレーン数/エンジン数42/1122/822/722/7
ATI CrossFireX対応
仮想化技術IOMMU 1.2
内蔵グラフィックスチップATI Radeon HD 4290ATI Radeon HD 4250
DirectX10.110.1
HDアクセラレーション対応対応
HDポストプロセッシング対応対応
ATI Stream対応対応
TDP19.6W25W12.5W18W
製造プロセス65nm55nm65nm55nm
パッケージサイズ29×29mm21×21mm21×21mm21×21mm

報道関係者向けの説明会に登壇した、日本AMDの宮本啓志社長。「日本市場は、高性能CPUに対する需要が強い。ゴールデンウィーク中に品切れが起こらないよう十分な数を確保した」。Phenom II X6 1090T Black Editionの方が入荷数は多い見込みだ。

Intelの6コアCPU、Core i7-980X Extreme Editionが10万円超なのに対し、AMD製の6コアCPUは十分に安いとアピール。Intel製だとCPUしか買えないが、AMDはPC1台が買えるとした。
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「Phenom II X6 1090T Black Editionはオーバークロックの十分な余裕がある」(AMD)。同社では空冷で4.2GHz、液体窒素を使った冷却では6GHzを達成、「6コア全部だと計36GHzもの性能を持つ」(同)とユニークな表現をしていた。
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変更履歴 記事公開時、Phenom II X6 1055TのTurbo CORE時の動作周波数を3.2GHzとしていました。正しくは3.3GHzです。お詫びして訂正します。該当部分は修正済みです。[2010/05/06 21:00]