マイクロソフトは2009年11月12日、スマートフォン(携帯電話)向けOSの最新版「Windows Mobile 6.5」を国内で正式発表すると同時に、「Windows phone」ブランドで展開する同社のビジネス戦略について説明した。同OSを搭載したスマートフォンは、11月10日にNTTドコモ、ソフトバンクモバイルが、11日にはウィルコムが相次いで発表。12月以降に発売される。

 冒頭に挨拶したマイクロソフト代表執行役副社長の堂山昌司氏は、「携帯電話の市場は年々出荷台数が減っているが、Windows MobileやAndroidを搭載した携帯電話、iPhoneなどスマートフォンの市場だけは伸びている。グローバルでは2009年に約1億9700万台が出荷され、さらに2012年には3億5000万台に近づくのではないかと期待している」と市場を総括。「Windows Mobileというとビジネスユースの印象が強いが、今回のWindows Mobile 6.5をきかっけに、また今後の進化の中で、一般のコンシューマーの皆さんにWindows Mobileをエンジョイしていただきたい」と、Windows phoneを通じてコンシューマー市場の開拓に力を入れていくと意気込んだ。

 続いて、同社モバイルコミュニケーション本部本部長の越川慎司氏が、Windows phoneの具体的な機能を説明した。

タッチ操作でPCサイトも快適に閲覧

 まず従来のWindows Mobileと大きく異なる点は、指でタッチすることを基本とするユーザーインタフェースだ。「従来のWindows MobileはPDAの延長にあり、スタイラスペンを使って操作するものだった。これでは片手で使うことができない。そこで、スタートメニューを含めてすべてのアイコンを巨大化し、片手で操作できるユーザーインタフェースを採用した」(越川氏)という。また、パソコン版と同等のInternet Explorerを搭載しているのも利点。「パソコンで見えているWebサイトを、いかに同じようにモバイルで見られるかを追求した。パソコンで培ったIEのテクノロジーをふんだんに採用して、Flashを使ったパソコン向けサイトやYouTubeも同じように閲覧できる。画面の拡大も簡単だ」(同)。

 クラウドサービスの連携も特徴の一つ。同社が無償で提供する「My Phone」サービスを使うと、200MBのオンラインストレージに、写真や連絡先、予定などWindows phone内のデータを自動でバックアップできる。そこからパソコンにデータをダウンロードしたり、友人と共有したりすることも可能で、いちいちメールで送信することなく、携帯電話内のデータを有効活用できる。

 そして最大の目玉が、12月上旬にオープンするWindows phone向けのオンラインストア「Windows Marketplace for Mobile」だ。ゲームやユーティリティ、書籍などの各種コンテンツをダウンロード購入できるサービスで、国内では現時点で30社のソフトウエアメーカーが配信を決定しているという。これについて越川氏は、「どういったアプリケーションが出てくるのかが非常に重要になってくるが、我々は日本のパートナー、開発者の方々とがっちりと手を組んで、日本の誇るべき魂の入ったコンテンツ、ゲームを、国内だけでなく海外にも展開していく」と自信を覗かせる。

大手ゲームメーカーが続々参入

 発表会場には、実際にWindows phone向けのコンテンツを提供するメーカーが多数駆け付け、デモンストレーションを行った。例えば、カプコンは「バイオハザード ディジェネレーション」をWindows phone向けに投入する。同社開発統括本部MC開発部長の手塚 武氏は、「ご覧いただくと分かるが、今までの携帯電話とははるかに異なる表現力を実現している。携帯電話よりパワフルで、パソコンよりフレンドリーなスマートフォンは、これからますます伸びる分野だと考えている」と、その可能性に期待する。

 ゲーム以外のコンテンツとしては、マイクロソフトが戦略的なパートナーシップと位置付けている集英社の例が紹介された。同社は今回、「ドラゴンボール」をはじめとする同社のコンテンツを、Windows phoneを含めたマイクロソフトのプラットフォームを通じて、世界に配信する業務提携をした。集英社常務取締役の鳥嶋和彦氏は、「マイケル・ジャクソンが亡くなったとき、世界中で同時にスリラーの映像と音楽が流れ、コンテンツの力のすごさを感じた。日本でこれに匹敵する力を持つコンテンツといえば、漫画ではないかと思う。だが、世界の子供たちが同時に漫画を楽しめるようにするには、集英社だけの力ではできない。そこで著作権を配慮してもらいつつ、なおかつ僕らのコンテンツを世界に持っていける会社はないものか、と考えてきた。その答えがマイクロソフトとの提携だ」と語る。同社はまず、ドラゴンボールを日米同時配信を行い、2010年以降、Windows 7などへプラットフォームを広げながら、コンテンツを世界に広げていくという。

 最後を締めくくった堂山氏は、「コンテンツやアプリはたくさんある。大事なのはOSではない。その上に載せるゲームやコンテンツが最も大事なものだ。OSはあくまで技術であり、ただの箱かもしれない。そこに楽しいコンテンツを作っていただき、Windows MobileやWindows 7でなければ楽しめない、といったエコシステムが重要になる」と、パートナーと連携しながら、Windows phoneを展開していく考えを示した。