日本レコード協会(RIAJ)は、違法音楽配信に対する取り組みを強化する。違法着うたサイトやファイル交換ソフトなどで、権利者の許諾を得ずに流通する楽曲について、配信に使われている掲示板サイトの運営者や、入手方法を紹介する雑誌/ムックの発行元などに、違法音楽配信を助長する行為をやめるよう申し入れる。また携帯電話で楽曲をダウンロードする際に、楽曲データが正規配信か違法配信かを自動照合する仕組みを、2010年度をめどに導入する。違法配信が正規配信を上回る規模で広がっていることを受け、違法配信サイトを刑事/民事の両面で取り締まるとともに、ユーザーがこうしたサイトを違法と気付かず使うのを抑止することを目指す。

「違法サイト運営者は営利目的、アダルトや出会い系、詐欺広告もまん延」

 RIAJによると、2008年の正規着うた/着うたフルの販売曲数は約3億2900万曲。これに対し違法着うた/着うたフルの推定ダウンロード曲数は約4億700万曲に上る。パソコン向けでは、2007年の正規配信ダウンロード曲数は約4400万曲、ファイル交換ソフトによる違法音楽ファイルの推定ダウンロード曲数は約5億300万曲としている。また、携帯電話ユーザーの35%が違法着うたを利用しており、特に12~15歳では64%、16~19歳では60%と利用率が高くなっているという。違法サイト利用者のうち72%は、違法サイトの利用に罪悪感を持っていないとしている。

 RIAJ 情報・技術部部長兼法務部担当部長の畑陽一郎氏は、2009年7月30日に開催された報道関係者向けの懇談会で、「楽曲をアップロードするユーザーやダウンロードするユーザーのほとんどは個人で営利目的ではないが、違法サイト運営者のほとんどは広告収入による営利を目的としている。さらに、違法サイトにパスワードを掛け、広告付きのメールマガジンでパスワードを配布したり、バナー広告をクリックさせることでダウンロードに必要なポイントを加算・蓄積させたりするサイトもある。掲載している広告もアダルトや出会い系サイトのほか、占いに答えさせる形で年齢や性別、メールアドレスを聞き出して迷惑メールを送りつけるなど、詐欺的な広告も含まれている。上場企業をかたる広告が、当該企業の知らないところで掲示されていた例もある」と語り、違法着うたサイトには問題が多いとしている。

「違法サイト、発見から検挙まで1年以上かかる」

 RIAJではこれまでに、違法音楽配信対策の取り組みを複数実施している。例えば、

  1. インターネット上の楽曲ファイルを自動検索し、サーバー運営者に対し削除要請する(2006年以降に累計23万ファイル)
  2. 悪質な違法着うたサイト運営者を警察に告発し検挙するとともに、損害賠償請求の訴訟を起こすなど刑事/民事の法的措置を取る
  3. ファイル交換ソフトで音楽ファイルを公開しているユーザーに警告メールを送付する(2004年以降に累計1222万通)
  4. アップロードを続ける悪質なユーザーについて、プロバイダーから発信者情報開示を受け損害賠償を請求する(和解済み14人、1人当たり平均40万円)
  5. 違法サイトのブラックリストを携帯電話のフィルタリング向けに提供したり、携帯電話事業者の協力を得て検索結果から違法サイトを除外する
  6. 正規の音楽配信サイトであることを示す登録商標「エルマーク」を、正規サイトに表示する(218社、1144サイト)
  7. 有名アーティストを起用するなどして、違法サイトを使用しないよう求めるキャンペーンを展開する

などの対策を実施している。

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