Intelは2009年1月18日、クアッドコアCPU「Core 2 Quad」として初めてとなる低消費電力版3モデルをラインアップに追加した。日経WinPC編集部では、最上位版であるQ9550sの評価版を入手。Core 2 Quadの既存モデルやCore 2 DuoとQ9550sの消費電力を実測し比較。その結果、アイドル時、負荷時ともに同クロックの従来版に比べ消費電力に有意な差があることが判明した。

 今回発表したのは、2.83GHz駆動のQ9550s、2.66GHz駆動のQ9400s、2.33GHz駆動のQ8200sの3品種。いずれもTDP(熱設計電力、実使用上の最大消費電力)を、既存品種の95Wから65Wに下げたバージョンである。動作周波数や2次キャッシュ容量などTDP以外の基本仕様は、それぞれQ9550、Q9400、Q8200と大幅な変更はない。

Core 2 Quadとして初の低消費電力版であるQ9550s。
[画像のクリックで拡大表示]

 日経WinPC編集部では今回、3モデルのうち最上位であるQ9550sを入手した。これを含め、以下の5種類のCPUで消費電力を実測した。

  • Core 2 Quad Q9550s(2.83GHz)
  • Core 2 Quad Q9550相当品(2.83GHz)
  • Core 2 Quad Q8200(2.33GHz)
  • Core 2 Duo E8600(3.33GHz)
  • Core 2 Duo E8500(3.16GHz)

 このうちCore 2 Quad Q9550は製品版ではなく、Core 2 Extreme QX9650の倍率を変更して2.83GHzにした相当品で評価した。初期の個体なので、若干消費電力が高めかもしれない。

 テストに使用したパーツは次の通り。

  • 【マザーボード】GA-EP45-DS3R(GIGABYTE TECHNOLOGY、Intel P45+ICH10R搭載)
  • 【メモリー】DDR2-800 2GB×2
  • 【HDD】WD Caviar Black 1TB(Western Digital)
  • 【グラフィックスボード】ATI Radeon HD 2400 PRO搭載ボード、ファンレス
  • 【電源ユニット】EARTHWATTS EA-430D(Antec、定格出力430W)
  • 【OS】Windows Vista Ultimate Service Pack 1 32ビット日本語版

情報表示ソフト「CPU-Z」の画面。「Core Voltage」は1.12Vを示した。
[画像のクリックで拡大表示]

 システム全体の消費電力を示したものが下のグラフである。グラフの左側はアイドル時。右側は、PCMark05で4スレッドを同時に処理する「MultiThreaded Test 2」を実行したときの値と、「CINEBENCH R10」の「Rendering(Multiple CPU)」を実行したときの値の平均値となっている。

日置電機の「パワーハイテスタ3332」で、システム全体の消費電力を測定した。Q9550sはQ9550相当品と同じ2.83GHz駆動ながら、負荷時の消費電力が約2割、アイドル時も約1割低い。動作周波数が2.33GHzのQ8200に匹敵する消費電力であった。
[画像のクリックで拡大表示]

 Core 2 Quad Q9550sを、同じ2.83GHz駆動のQ9550相当品と比較すると、消費電力の低さが顕著に表れている。一般にCPUは個体により動作電圧が異なり、それに伴い消費電力にも変動がある。今回テストした個体の場合、負荷時の消費電力は100Wをわずかに上回る程度。通常版のQ9550相当品は125Wを超えており、システム全体で2割近い省電力効果を発揮した。アイドル時は負荷時ほど大幅な違いではないが、消費電力は約1割の差がついた。他のQ9550の個体も同様の傾向ならば、Q9550sの省電力効果はなかなかのものといえよう。

 Q9550sに比較的近い結果となったのは、2.33GHz駆動のQ8200である。負荷時の消費電力は95W前後でQ8200の方がわずかに低いが、アイドル時はQ9550s、Q8200とも60W前後でほぼ一致した。デュアルコアCPUのCore 2 Duoとの比較では、3.33GHz駆動のE8600とほぼ同程度の消費電力。E8500との比較では、負荷時の消費電力はE8500の方がQ9550sより1割弱低め。アイドル時はほぼ同程度の消費電力であった。

 CPUを低消費電力版に換装するのみで、動作周波数を維持しながら消費電力を最大20W以上削減できる効果は大きいといえよう。ただし、気になるのはその価格。現時点でQ9550sの店頭価格は明らかでないが、Intelが公表している1000個出荷時の単価(大手メーカー向けの、CPUクーラーを含まないCPU単品の卸価格)は369ドル。Q9550の単価は、Q9550sの追加と同じタイミングで316ドルから266ドルに引き下げられている。Q9550はパーツショップで2万7000~2万8000円程度で販売されており、ここから推測するとQ9550sの国内での店頭価格は3万8000~4万円程度になるとみられる。省電力の実力は高く評価したいが、通常版との価格差を考えると悩ましいところだ。


日経WinPCでは、PCパーツをベンチマークテストで徹底的に評価し、ライバル製品と比較した記事を毎号掲載しています。WinPCはPC自作の総合情報誌です。 >> 最新号の目次とご購入はこちら