米マイクロソフトのプロフェッショナル開発者会議(PDC2008)初日は、同社チーフ ソフトウエア アーキテクトのレイ・オジー氏によるキーノートで幕を開けた。参加者は約6500人で、うち5000人が開発者。彼らから大きな尊敬を集めるオジー氏だけあって、彼の言葉に皆が熱心に聞き入った。

 「このPDCは、マイクロソフトの製品やサービス、戦略にとって大きな転換点になる」と開口一番に語ったオジー氏が発表したのは、「Windows Azure(アジュール)」。Windows Azureは、いわば「クラウド内に存在するWindows OS」。マイクロソフトがデータセンターを運用し、その上でストレージ、仮想化、システム管理を含むホスティング・サービス、「Liveサービス」(文書や画像などの共有)、「SQLサービス」(データベース、検索)、「.NETサービス」(ビジネスにおけるワークフローやアクセス・コントロール)を提供するものだ。今後はWindows SharePoint(プロジェクト管理)やDynamics CRM(顧客関係管理)、サードパーティーによるサービス・アプリケーションを開発可能にするという。

 マイクロソフトは、数年前から温めてきた「ソフトウエア+サービス」というキーワードを今回強く打ち出している。エンタープライズ・ソフトをオンプレミス(自社運用型)とクラウドの双方で提供するというハイブリッド型の構想が、このWindows Azureによってはっきり示されたかたちだ。

 Azureの発表に際して同社が特に注力したのは、オンプレミス(自社運用型)のエンタープライズ・ソフトを開発してきた開発者たちが、クラウドに移行する際にも既存の知識やスキルをそのまま継続して利用できるようにすることだ。.NET Framework、Visual Studioなど開発者が用いてきた同社の開発ツールに加えて、他社およびオープンソースの開発ツールも利用可能としている。

 同じような連続性は、ユーザー企業に対しても提供される。オンプレミスとクラウドのどちらにアプリケーションを配備するかは、ユーザー自身が選択し、それをあとから入れ替えることも可能。オンプレミスとクラウドがちょうど鏡像のように存在するというイメージだ。この2つをシームレスにつなげるために、統合ID管理と拡張性の確保が核になるとした。

 Windows Azureが企業ユーザーにもたらす利点は、IT部門がハードウエアやデータセンターの拡張などのインフラ整備に頭を悩ませずにすみ、コストを削減できること。また、これによってマイクロソフトは、サービスとしてのソフトウエア(SaaS)やホスティング・サービスという新ビジネスへ一歩を踏み出したことになる。オジー氏は、「今後50年間の開発進路に照準を合わせた動きだ」と述べた。

 同日付けで、PDC2008の参加者にベータ版に先駆けたコミュニティー・テクノロジー・レビュー版(CTP)を提供する。開発者からのフィードバックによって改良を加えていくという。実際の製品リリースの予定や収入モデルについては詳細を明かしていない。