日本AMDは2008年10月18日、東京・秋葉原で開催したユーザー向けのイベントで、今後のCPU製品の展開について明らかにした。

 ロードマップを解説したのは、日本AMDの土居憲太郎氏。AMDは近々、TDP(熱設計電力、実使用上の最大消費電力)が45Wの低消費電力版デュアルコアCPU、Athlon X2に新モデルを投入する。現在のAthlon X2 4850e(2.5GHz)の上位モデルになるという。グラフィックスチップでも近いうちに、NVIDIAのGeForce 9600 GTの対抗になる位置付けの製品を出す。現在販売中のRadeon HD 4670(ボードの価格は1万円前後)と、Radeon HD 4850(同1万8000~2万5000円)の中間の性能を持つ製品になるとみられる。

 デュアルコアCPUには別の新モデルも出す。Phenomと同じ設計の、「Kuma(クマ)」という開発コード名で呼ばれていた製品だ。ただ土居氏は「Kumaに期待する声は多いようだが、正直なところ(トリプルコアの)Phenom X3の方が速い」とコメント。一般にコア数の少ないCPUで、よりコア数の多いCPUより高い性能を出すには、動作周波数を高める必要がある。Kumaの動作周波数は、Phenom X3(2.1G~2.4GHz)よりも大幅に高くなることはなさそうだ。

 製造プロセス45nm版のCPUは、2008年中に出荷する。ただし、これはサーバー向けの「Shanghai(シャンハイ)」だとみられる。デスクトップPC向けの45nm版CPU、「Deneb(デネブ)」「Heka(ヘカ)」「Propus(プロパス)」「Rana(ラナ)」は、プレゼン資料では「45nm」とは別枠に入っている。土居氏はデスクトップPC向けCPUの登場時期についてプレゼンテーションでは明言しなかったが、日本AMDの広報担当者は、図中の枠には意味があるとしていた。ちなみに、Denebは、3次キャッシュを現行の3倍の6MBにしたクアッドコアCPUで、Hekaは、そのトリプルコアCPU。Propusは3次キャッシュを削減したクアッドコアCPU、Ranaも3次キャッシュの無いトリプルコアCPUだ。

 このほかイベントでは、AMDによる自社製品のデモやAMD製チップを搭載した製品を販売しているメーカーや代理店による解説が行われた。

 日本AMDは、8月に発売した新型チップセット「AMD 790GX」「SB750」の新機能の一つである「Advanced Clock Calibration(ACC)」をアピール。ACCは、CPUとサウスブリッジのSB750を「ACC Link」で接続し、オーバークロックの上限を今まで以上に引き上げられるという機能だ。プレゼンでは、AMD 780G搭載マザーボードだと3GHzまでしかオーバークロックできなかった個体でも、AMD 790GX搭載マザーボードでは3.352GHzで動作した、という実験結果を明らかにした。

 また、グラフィックスチップの持つ演算能力を利用した処理として、アークソフトの「SimHD」と、LoiLoの「LoiLoScope」が紹介された。SimHDは、低解像度の映像データから高解像度映像を生成する、アップスケール技術を使った動画再生エンジン。映像生成の演算処理にグラフィックスチップを利用することで、CPU負荷を下げられる。2008年内に、SimHDを使った再生ソフトを発売する予定だという。

 LoiLoScopeはゲームのようなユーザーインターフェースを持つ動画編集ソフト。無限に広がる「デスクトップ」に素材となる動画ファイルを適当に並べて処理を進めるスタイルが特徴で、フィルターやエフェクトなどの適用結果をリアルタイムに確認できる。グラフィックスチップの恩恵か、動作が非常に軽快だった。LoiLoScopeは機能を制限したバージョンを無料で配布中。ハイビジョン映像に対応した上位の「Super LoiLoScope」は5900円(キャンペーン価格、希望小売価格は8800円)で販売中だ。

■変更履歴
「SimHD」を「SlimHD」と表記していたのは誤りでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2008/10/27 17:10]