国内最大級のITエレクトロニクスの展示会「CEATEC JAPAN 2008」が2008年9月30日から千葉市・幕張メッセで始まった。日経パソコンでは創刊25周年を記念して「モバイルコンピューティング PLAZA」という主催者企画に協力している。

 モバイルコンピューティング PLAZA内の「最新モバイルPC体験コーナー」では、インテルのAtomプロセッサーを搭載したモバイル・インターネット・デバイス(MID)向けソフトの参考出品が集合している。携帯電話やカーナビ、組み込み用途を狙うインテルのAtomプロセッサー戦略を体感できる場となっている。

 富士通ソフトウェアテクノロジーズの「Embedded Linux」という展示では、ソフィアシステムズのMID向けソフトの開発プラットフォームである「PEARTREE」に、ウィルコムの「W-SIM」を装着し、LinuxベースのオープンソースOS「Moblin Linux」のインタフェース上から本体のみで音声通話を行うデモを実施している(写真1)。

 デモ用端末は携帯電話と呼ぶには苦しい大きさだが、2009年にインテルが投入を予定している「Moorestown」では、マザーボードの大きさを現在の2分の1から3分の1程度まで小さくできるとされている。現在、開発が進められているMoblin Linux 2.0では通話機能が標準で入る見通し。AtomプロセッサーとMoblin Linuxの組み合わせで実現する携帯電話の世界をかいま見ることができる。

 日本語入力システムでは、ジャストシステムとオムロンソフトウェアがともに携帯電話向けの製品をMoblin Linuxに移植したものを展示している。「ATOK for Moblin Linux」では、携帯電話向けに提供しているATOKのエンジンをMoblin Linuxに移植し、携帯電話では一般的な予測変換(推測変換)をMID上で利用できるようにしている。また、並んで展示されていたLinux向けの「ATOK X3 for Linux」もMoblin Linux上で問題なく動作していた(写真2)。

 オムロンソフトウェアが展示している「iWnn」は、予測変換に対して細かい設定を可能にしている。季節や時間帯に応じて予測変換候補を切り替える「季節、時刻判別」、メール作成時に送信先に指定している人の属性に応じて変換候補を変える「相手に合わせて予測」といった項目が設定画面から選択可能だ(写真3)。また、文字を入力後、右矢印キーで入力予定の文字数を増やすと、その文字数に合いそうな予測変換候補が選び直される機能もある。

 また、オムロンソフトウェアでは、MIDに付属するカメラを使い、OCRで読み取った文字列を辞書引きする「Mobile OmCR」のMoblin Linux版も参考出品している(写真4)。撮影した画像から文字を読み取り、辞書引きできる。対応言語は英語、日本語、ハングル、簡体字。Mobile OmCRは、すでに携帯電話プラットフォームのBREWやSymbian OSに実装した実績を持っている。

 さらに同社は動画を用いた日記の投稿サイト「Zoome.jp」にMIDで撮影した動画の投稿を行うデモも実施。ここではアドビシステムズのアプリケーション実行環境「AIR」のWindows版で動作していたソフトのソースコードを使用している。現在、Linux向けAIRはベータ版。それをMoblin Linuxに実装して、Zoome.jpのインタフェースを動作させているという。

 携帯電話でのデータ管理システムなどを手がけるフェイスが参考出品した「Floating Media Console(仮称)」はMIDが家電や携帯電話の間でのデータの仲介役を果たす一例を示している。タッチパネルで操作できる本体(コンソール)では、動画や音楽といったデータの権利情報をMIDのインタフェース上にサムネイルの形で示して直感的に扱える。

 コンソールの画面に表示されているテレビのアイコンに、動画のサムネイルを指でスライドさせて重ねると、本物のテレビで動画が表示されるといった具合で動作する。携帯電話で購入したデータをテレビで見たいなら、MIDにつながったカードリーダーにFeliCaポートをかざせばいい。携帯で料金を支払い済みの動画がサムネイルとしてコンソール上に現れるのでそれをテレビのアイコンに重ねればテレビ画面上で動画の再生が始まる(写真5)。

 このほかにも、Windows CEベースで開発されたカーナビシステムをMIDで動作させるデモやIP-TVのリモコンとしてMIDを使うデモも行われている。PC Onlineで提供中のモバイルマップをMoblin Linuxを搭載したMID上で動作させているデモもある。