「我々は、Atomを7~10.2型の液晶サイズのネットブックに使うことを強くお勧めする。仮に、Atomを使って14型のノートパソコンを作ってしまうと、一般消費者がCeleronを搭載した14型のスタンダードノートと同じだと勘違いして購入してしまい、結果的に失望させることになりかねない。Atom搭載ノートの部材コストは、以前からある14型のスタンダードノートとさほど変わらない。だから、Atom採用の14型ノートを開発するメリットはない――」(米インテル シニア・プラットフォーム・エンジニアのKartik Ananth氏)。

 米インテルがサンフランシスコで開催しているコンピューター技術者向け会議「Intel Developer Forum(IDF)」で、「ネットブック(Netbook)」と呼ぶ低価格ミニノートに関するセッションが2008年8月21日に行われた。一般にIDFのセッションは、同社の取引先であるパソコンメーカーなどに対して、市場の最新動向や同社の新製品・新機能を積極的に紹介し、同社製CPUなどの採用を働きかけるものである。しかし今回のセッションでは、ネットブックと一般のノートパソコンの違いについて、何枚もスライドを用意して繰り返し注意を促すという、異例の内容だった。

 同セッションではまず、インテル プロダクトマーケティングのChris Tulley氏が市場動向について説明(図1)。BRICsや東南アジア、中米、東欧などの新興市場では、まだ大半の家庭でパソコンを持っていないと指摘。ネットブックが家庭における1台目のパソコンとして有望だとした。一方、日米欧などの成熟市場でも、一家に1台しかパソコンを持っていない家庭が大半だといい、2台目以降のパソコンの需要が喚起できるとした。新興市場と成熟市場の双方で出荷台数が伸長すれば、製造コストを下げられ、最も低価格のモデルで250米ドル程度が現実のものになり、さらなる需要を生み出せると期待を示した(図2)。

 ただし、ネットブックは誰にでも勧められるものではなく、「ユーザーの体験の豊富さ」と、「コストや画面サイズ」という2つの点で、既存のスタンダードノートと明確にセグメントが分かれるとする(図3)。そして、ネットブックが適しているのは、あくまでインターネット上でコンテンツやサービスを楽しむ使い方だとする。具体的には、Webやメール、文書作成、写真/音楽/ストリーミング映像の視聴、簡単なオンラインゲームなどを挙げている(図4)。

 続いてAnanth氏が、ハードウエア設計の観点からネットブックとスタンダードノートの違いを説明した(図5)。ネットブックは、7~10.2型という画面サイズであることにより、液晶パネルの部材コストを大幅に低減できていると指摘。同じことはきょう体やマザーボード、光学ドライブの部材コストにも言えるとする。また、7~10.2型と画面が小さいことで、12型以上のスタンダードノートよりバッテリー駆動時間を延ばすことができると語った。7~10.2型の低価格ミニノートと同じことを12型以上のきょう体で実現しようとしても、部材コストの削減に限界があることを、棒グラフでの比較により説明した。

 Ananth氏はまた、ネットブックを開発する場合は記憶媒体にHDDでなくSSDを使うのがお薦めだとする(図6)。同社の4G~8GBのSSD「Z-P230」を1.8型HDDと比較すると、(1)実装面積が1/4と小さい、(2)消費電力が低くバッテリー駆動時間を延ばせる、(3)モーターなど物理的に駆動する部品がなく堅牢性を向上できる――といったメリットが期待できると説明した。

 続いて、再びTulley氏が登壇。MIDとネットブック、スタンダードノートという3つの製品カテゴリーの違いについて、画面サイズ、プリインストールOS、主な用途において明確な違いがあり、その違いに応じて各一般消費者に最適な製品がどれかを明確に薦められるとする(図7)。

 Tulley氏はまた、CPUのパッケージ寸法にも言及(図8)。MID向けのAtom Z500~540は13×14mm、Atom N270は22×22mm、Celeronは35×35mmと大きな違いがあることを指摘し、「正しいサイズの製品を、正しいサイズの機器に」と呼びかけた。さらに、それぞれのCPUが持つ機能の違いについても言及。Atomではマルチタスクや負荷の高いゲーム、DVDの視聴などに限界があり、そうした場合はCeleron以上のCPUを使うよう求めている(図9)。

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