NVIDIAは2008年7月29日、低価格PC向けの新型グラフィックスチップ「GeForce 9500 GT」を発表した。実質的なGeForce 8600 GTの後継製品でDirectX 10に対応する。レファレンスのクロックはコアが550MHz、シェーダーが1.4GHz、メモリーが1.6GHz(800MHzのDDR)。メモリーのバス幅は128ビット。32個のシェーダーを備える(表1)。

 日経WinPCはGeForce 9500 GTを搭載したグラフィックスボードを入手、上位/下位モデルやライバル製品と性能を比べた。テストに使用したのは、ZOTAC Internationalの「ZOTAC 9500GT AMP! EDITION 512MB DDR3 128BIT(ZT-95TES2P-FCL)」。コアを650MHz、メモリーを1.8GHzに引き上げたオーバークロックモデルだ。

テストに使用した環境は以下の通り。

  • 【CPU】Core 2 Extreme QX9650(3GHz)
  • 【マザーボード】P5Q Deluxe(ASUSTeK Computer、Intel P45搭載)
  • 【メモリー】DDR2-1066 2GB×2
  • 【HDD】WD Caviar SE16 500GB(Western Digital、WD5000AAKS)
  • 【電源ユニット】E-1200EA(アビー、1200W)
  • 【OS】Windows Vista Ultimate Service Pack 1 32ビット日本語版

比較用のグラフィックスボードには以下を使用した。機材調達の都合上、いくつかはオーバークロックモデルだ。

  • 【GeForce 8500 GT(OC版)】GV-NX85T256HP(GIGABYTE TECHNOLOGY)
  • 【Radeon HD 3650】レファレンスボード
  • 【GeForce 8600 GT】GLADIAC 786 GT Silent 512MB(エルザジャパン)
  • 【GeForce 8600 GTS】GF8600GTS-E256HD(玄人志向)
  • 【GeForce 9500 GT(OC版)】ZT-95TES2P-FCL(ZOTAC International)
  • 【Radeon HD 3850】レファレンスボード
  • 【GeForce 9600 GSO】GV-NX96G384H(GIGABYTE TECHNOLOGY)
  • 【GeForce 9600 GT(OC版)】PV-T94P-YDD4(PINE Technology)

 デバイスドライバーはRadeon HDが8.501.1-080621A-065814E-ATI。テスト時期の関係でCatalyst 8.6がベースの評価用のドライバーを使った。GeForceは、9500 GT以外が175.19。9500 GTは177.72。177.72は、グラフィックスチップでゲーム中の物理演算を処理する「PhysX」に対応していないバージョン。近日中にPhysX対応版がリリースされる見込みであり、そのバージョンを使うと後述の「3DMark Vantage」のスコアが改善する可能性がある。

8600シリーズに比べて順当な性能の伸びを示す

 グラフ1は1280×1024ドットでの3DMark06の総合スコア、グラフ2は1920×1200ドットでの結果だ。今回テストしたGeForce 9500 GTはオーバークロック版であり、シェーダークロックが標準のGeForce 8600 GTSを上回るためか、8600 GTSよりも高いスコアが得られた。ただ、シェーダー数に勝るGeForce 9600 GSOや9600 GTと比べると、確実に「格下」を感じる性能だ。グラフ3の3DMark Vantageでも傾向は変わらない。

 GeForce 9500 GT搭載ボードを使ったシステム全体の消費電力は、3DMark06の「Firefly Forest」を実行したときにアイドル時で114W、負荷時で152Wだった。8600 GTは111Wと155W、Radeon HD 3650は106Wと172W、GeForce 9600 GSOは136Wと212W、9600 GTは119Wと196W。9500 GTは性能の割にはそれほど消費電力が上がっていない。

 NVIDIAの資料では、同じ「500番台」の8500 GTに比べて性能が著しく高いとしている。また、ライバルとしてRadeon HD 3650を想定しており、多くのテストでGeForce 9500 GTがRadeon HD 3650を上回る性能を示すとしている。今回は3DMarkだけしかテストしてないが、確かにNVIDIAの主張通りだ。

 問題は価格だ。ボードメーカー各社が発表したGeForce 9500 GT搭載ボードの価格はレファレンスと同じクロックの製品で1万円強。ところが現在のグラフィックスボード市場は、価格性能比が極めて高いRadeon HD 4850が6月後半に登場してから、競争力を失った一部の既存製品が投げ売りに近い状態になっている。例えばRadeon HD 3650は7000円強から購入できるし、GeForce 9600 GTは1万3000円台で入手できる製品がある。

 何より、シェーダー数の多いGeForce 9600 GSO搭載モデルが在庫処分のためか8000円前後で出回っている。性能差を考えると、9600 GSOを無視してGeForce 9500 GTを積極的に買う理由が見当たらない。あえてGeForce 9500 GTのメリットを上げるなら、PCI Express用の6ピン補助電源が不要な点だ。ボードも、GeForce 9600 GSOや9600 GT搭載製品に比べればコンパクトだ。

 9600 GSOや安価な9600 GTボードのような身内の強力なライバルの在庫動向次第では、GeForce 9500 GT搭載ボードは値下がりするはずだ。買いかどうかの判断は、価格が落ち着くまで待った方がよいだろう。


●ベンチマークテストの概要
■3DMark Vantage
 Futuremarkが提供する3D画像処理性能を測る定番ベンチマークソフト「3DMark」の最新版。この最新版ではDirectX 10に対応したほか、ゲーム中のキャラクターやオブジェクトを現実世界と同じような法則で動かすための「物理演算」をこれまで以上に取り入れている。 Windows Vistaでしか動かない。 ■3DMark06
 Futuremark製の3D画像処理性能を測るベンチマークソフト。DirectX 9に対応したグラフィックス機能の処理性能を調べられる。3DMark Vantageの前のバージョン。シェーダーモデル2.0までの機能を使った「SM2.0」のテスト、シェーダーモデル3.0を利用する「HDR/SM3.0」のテスト、ゲーム中のキャラクターの動きをマルチスレッドで計算するCPU関連のテストを実行して総合スコア(3DMark Score)を得る。