EMS(electronic manufacturing service)事業の世界最大手である台湾の鴻海精密工業(Hon Hai Precision Industry、FOXCONN)は、8.9~10型液晶ディスプレイを搭載した小型・低価格のノートパソコンを、2008年8月にも量産出荷することを明らかにした。小売価格で399米ドルと低価格なのが特徴。自社ブランドでの展開は行わず、世界各地のメーカーなどに向けODM(original design manufacturing)形式で供給する。台湾・台北市で開催中の「COMPUTEX TAIPEI 2008」において、同社関係者が日経BP社記者の取材に対し明らかにした。

 この製品は、同社の開発コード名で「QBOOK」と呼ばれているもの。台湾の華碩電脳(ASUSTeK Computer、ASUS)が開発・販売する「Eee PC 901/1000」と同じく、8.9型または10型の液晶ディスプレイを搭載する。CPUの詳細は明らかでないが、米インテルの小型機器向け品種であるAtomを搭載するとみられる。チップセットは945GC。2.5型のHDDを内蔵し、容量は120GB~160GB。メインメモリーは1スロットで512MB~1GB。無線LAN、Bluetoothに加え、第3世代携帯電話の高速パケット通信方式であるHSDPAの通信モジュールを内蔵する。バッテリー駆動時間は3時間前後の見込み。

 特筆すべきは価格である。同社の独自Linuxである「fos」搭載版で「量産出荷当初は小売価格ベースで399米ドル前後、目標としては350米ドル前後を考えている」(FOXCONN関係者)。Windows XP搭載版の場合は40~50米ドル程度高くなる見込み。仕様が異なるので単純比較はできないが、Eee PC 901の台湾での販売価格は1万6988台湾ドル(約560米ドル)であり、QBOOKの安さが際立つ。FOXCONNは多数のメーカーからパソコンやスマートフォン、携帯電話などの開発・量産を受注しており、量産効果により部材調達や製造などのコストを抑えている。こうした背景から、大幅な低価格化を実現できているもよう。

 FOXCONNでは、実際に動作するQBOOKの試作品を製造済み。今回の取材では写真の掲載は許可されなかったが、試作品のQBOOKが動作する様子を確認できた。ブースでの展示は行っておらず、今回のCOMPUTEXに合わせ、各国のバイヤーとの間でODMの商談を進めている。日本のバイヤーについては、パソコン専門店向けのショップブランドを展開する複数のメーカーとの間で商談を進めているもよう。7月中旬にODM供給先へのサンプル出荷を始めるとしており、それぞれの供給先からの要求に応じた仕様の最終調整を経た上で8月に量産出荷を始める意向だ。

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