ハードディスクといえば、大抵のパソコンが搭載している利用頻度の高い記録媒体。日々の仕事や生活に密接に関係した大事なデータの記録を担っているだけに、何か問題が起きれば一大事。急な故障で中のデータが読み出せなくなれば、目の前が真っ暗になるほどのショックを受ける人も多いはずだ。

 実は、他の記録媒体と比べると、ハードディスクの故障事故の件数は格段に多い。実際、トラブル時にユーザーが駆け込むデータ復旧サービスの運営事業者は「データ復旧の案件の中でハードディスクのトラブルは実に7割を占める」(ワイ・イー・データ)と言う。データ消失という最悪の事態を避けるには、まず利用頻度の高いハードディスクこそ、最大の注意を払うべきなのだ。

 まず押さえておくべきはハードディスクの3つの弱点──「衝撃」「熱」「湿気や結露」である(図1)。メーカーは「約5年間利用することを想定して設計している」(日立グローバルストレージテクノロジーズ)が、3つの弱点に配慮せず扱えば"5年間"という寿命は確実に縮まる。

【ハードディスクのデータ消失を引き起こす3大要因】
図1 ハードディスクの記録面に傷ができるとデータが読み取れなくなる。モーターなどの駆動部分が故障することもある。その主な要因としては(1)衝撃(2)熱(3)湿気や結露の3つがある
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冬の結露で壊れることも

 ハードディスクが衝撃に弱いのは、ナノメートル(ナノは10のマイナス9乗)単位の精度で動作する精密機械であり、少しの衝撃で記録面を傷付ける可能性があるから。熱が高すぎると、記録の失敗や駆動部品の故障を招く。なお、一般的なハードディスクの動作温度は5~55℃である。湿気は記録面に水滴を発生させる。これによりデータの記録に支障を来す場合がある。冬の寒い時期には、屋外から暖かい部屋にパソコンを持ち込んだときにハードディスクの内部に結露が生じる可能性もある。

 なぜそこまでデリケートに扱う必要があるのか、詳しく構造を見ていこう。ハードディスクの内部には、データを記録する磁気ディスク、データを読み書きする磁気ヘッド、各種モーターがある(図1中央)。

 磁気ディスクは、同心円状に細かく区切られていて、磁気ヘッドは、その間にデータを記録していく。このデータを記録するための通り道のことを「トラック」という。トラックはさらに512バイトごとの細かい区画「セクター」に分けられている。

 データを書き込む際には、磁気ヘッドの先端に強い磁界を発生させ、磁気ディスク内部に複数のごく小さな磁石を作る。データを読み出すときには、トラック上に並んだ複数の磁石の列をなぞり、S極とN極の磁気の差を検知する(図2)。

【肉眼では見えない極微の世界で磁気によるビット情報を記録】
図2 磁気ディスク上では、同心円状に区切った「トラック」に沿ってデータを記録する。トラックの幅は90n~120nm、1ビットのデータ幅は20nmと極めて小さな範囲にデータを記録している。磁気ヘッドと記録面のすき間はさらに狭い
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