まずは事例から


こうして私はだまされた ~ Aさんの場合

 「ほう。最近は無料のウイルス対策ソフトがあるのか」。ネットサーフィンをしているAさんは、あるニュースサイトの記事に目を留めた。会社では、ウイルスの危険性や対策の重要性を研修などで聞かされているので、セキュリティ意識は高いつもりだ。会社のパソコンには、当然、ウイルス対策ソフトがインストールされている。自宅のパソコンにも、自腹で対策ソフトを入れている。

 そんなAさんの悩みは、その対策ソフトの有効期限がそろそろ切れること。更新したいのは山々だが、懐が厳しい今日このごろ。できるだけ出費を抑えたい。そんなAさんにとって、無料の対策ソフトは朗報だった。

 翌日、パソコンに詳しい同僚に尋ねると、無料の対策ソフトは以前から存在するとのこと。「海外メーカーの無料対策ソフトの中には、操作画面が英語でも、日本語環境で使えるソフトがある。検索サイトで調べればすぐに見つかる」といった話も聞かされた。

 英語は苦にならないAさん。その日帰宅すると、さっそく「free antivirus」といったキーワードで検索してみた。すると、無料の対策ソフトを提供するというサイトが次々と表示された。Aさんの目に留まったのは、「Antivirus Pro」というソフト。分かりやすい製品名が気に入った様子。

 複数の対策ソフトをインストールすると問題があるかもしれないと思い、まずは有効期限切れ間近の対策ソフトをアンインストール。その後、Antivirus Proをインストールした。「これでウイルス感染の心配はなくなったし、出費も抑えられた」。一安心のAさん。しかし、それもつかの間だった。

えっ?無料じゃないの?


 インストールが終わると、すぐにAntivirus Proが起動。勝手にウイルス検査を開始し、30件のウイルスを検出した。「今まで入れていた対策ソフトは一体何だったんだ!」と憤るAさん。一方で、「Antivirus Proのおかげで助かった」と感謝しつつ、「Remove(駆除)」ボタンをクリックした。

 すると、「登録されてません」といった内容の英語のダイアログが表示された。どうやら、検査は無料だが、駆除するにはライセンスを購入しなければならないようだ。「結局、お金を払うのか」。不満ではあるものの、30件ものウイルスをそのままにはしておけない。駆除ボタンから誘導された購入用のページでクレジットカード番号を入力した。

 ところが、パソコン画面の右下には、Antivirus Proが表示しているとおぼしき警告バルーンが、いつまでたっても表示されている。ようやくだまされていることに気付いたAさん。「有名なソフトを入れればよかった」とつぶやくのがやっとだった。

(関係者への取材などに基づいたフィクションです)

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