ハードディスク(HDD)は非常に精密な機器です。その構造ゆえ、衝撃や高温などに弱く、長年使用していると故障発生のリスクが高まります。

 HDDの仕組みはレコードプレーヤーによく似ています。レコードプレーヤーの針に当たる「ヘッド」と呼ばれる部品が、レコードに相当する「磁気ディスク」を読み書きします。レコードプレーヤーと違うのは、HDDのヘッドは磁気ディスクに接触せずに読み書きすること。ただし、そのすき間はわずか10ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)ほどしかありません。磁気ディスクは1分間に数千回転と高速に回転しているため、HDD内部にわずかな衝撃でも伝われば磁気ディスクとヘッドが接触して破損する恐れがあるのです(図1)。

【ハードディスクは衝撃に弱い】
図1 磁気ディスクの部分に同心円状に残る線は、衝撃によってヘッドが接触したことで生じた傷。損傷具合によっては読み書き不能になる

 損傷が軽ければ故障に至らないこともあります。ただその場合でも、衝突の傷によって生じたゴミがヘッドに付着して磁気ディスクを傷付ける危険があります(図2)。さらに、磁気ディスク上に隆起した傷に何度もヘッドが接触すると、被害が除々に拡大していきます。

図2 損傷が浅くても時間が経過すると削られた磁気ディスクの破片がヘッドに付着してほかの部分を傷付けたり、損傷部分にヘッドが接触したりして故障になりやすい
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 HDDメーカーの想定を超えた温度での利用も故障の原因となります。中でも温度の影響を受けやすいのが磁気ディスクを回転させるモーターの軸受け。ここに充てんされている潤滑剤は高温になると化学変化しやすく、劣化が進むと磁気ディスクの制御が困難になります。またHDDの動作を制御する各種の半導体チップも熱に弱いといわれています。

 故障の直前には何らかの前兆が表れる場合がほとんどです。最も端的な症状は、HDDからの異音や読み書き速度の低下。ヘッドと磁気ディスクがこすれたりモーターの軸受け部分がゆがむと、通常の動作音とは明らかに異なる音が発せられるようになります。この際、データの読み書きが正常に行えなくなるため、速度も著しく低下します。

 HDDの寿命は一概にはいえません。数年以上常用しても壊れないケースがある一方で、購入直後に壊れることもあります。大切なのは故障への備え。定期的なバックアップを常に心掛けましょう。

出典:日経パソコン 2008年3月10日号
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