佐賀県は、全国で初の試みとして2014年4月、県立高等学校に入学した新入生に1人1台の学習用パソコンを導入した。2013年夏には県立高校の全ての教室に電子黒板を整備するなどICT(情報通信技術)を活用した教育を強化してきた。ICT導入は教育にどんな変化をもたらしたのか。佐賀県教育長の池田英雄氏に聞いた。

■佐賀県が教育へのICT導入を推進したきっかけは。

 2007年に全国的な学力調査(全国学力・学習状況調査)がありました。その学力調査では全国平均は到達すると予測していました。ところが結果が公表され、フタを開けてみたら成績は軒並み予想を下回るものでした。この結果を受け、県議会で学力向上が大きなテーマとなりました。

 もともと佐賀県は教育に熱心に取り組んできたのですが、教育を改善するために何をするべきかを、あらためて調査しました。すると、家庭学習の方法や教科の割り振りに課題があることが分かりました。教員については、真面目に取り組んでいる点は評価できる一方で、生徒の成績に合わせた目配せが必要でした。これらの改善に加え、プラスアルファを加えるための切り口の一つが、ICTの利活用だったのです。

佐賀県教育長の池田英雄氏
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■なぜ他県に先駆けて高等学校で1人1台のパソコンを導入できたのでしょうか。

 佐賀県は、2008年から本格的に教育のICT利活用について検討を始めました。2009年に政府が「スクール・ニューディール」構想を立ち上げたときは、ICTの導入に手を挙げた小中学校は佐賀県の中で一部だけ。当時は、まだ全国の中で先行しているわけではありませんでした。東京都の港区立青山小学校など教育のICT利活用で話題になった学校の方がはるかに先へ行っていました。

 2010年には、総務省の「フューチャースクール推進事業」で実証研究をする学校の募集が始まりました。当時の原口一博総務大臣が佐賀県の出身だったこともあり、積極的に参加して、教育関連の事業者との協力関係を築きました。同時に政府が目指している方向性や世界各国の動きなど、さまざまな情報を集めました。

 それを契機として、電子黒板・校内の無線LAN・教育情報システム・デジタル教材などの導入を徐々に進めていったのです。こうした取り組みを積み重ねた土壌があったからこそ、今回の県立高等学校における1人1台のパソコン導入についても県知事や議会にすんなりと理解してもらえたと考えています。

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