大学ICT推進協議会(AXIES)は、2012年12月17~19日、兵庫県神戸市にある神戸国際会議場で「2012年度年次大会」を開催した。大学のCIO(最高情報責任者)やIT担当教職員、IT企業の担当者などが一堂に会し、大学の情報化について意見を交わした。ICT(情報通信技術)の広がりによって、大学や高等専門学校などの高等教育は、大きな変革期を迎えている。AXIESがその中で果たそうとしている役割や活動の狙いについて、会長を務める九州大学の安浦寛人理事・副学長に聞いた。

■AXIESを設立した狙いは。

 今や、高等教育でICTを活用するのが当たり前の時代になりました。ICTは教育のインフラといってよいでしょう。しかも、ICTの進化はめざましく、情報活用のニーズはますます高まっています。

 にもかかわらず、大学のICT環境を管理・運営する組織は、旧態依然としています。かつて、大学のICTというと大型計算機センターが主役でしたが、その時代の組織、教員、職員のままなのです。

 これでは時代遅れです。社会全体も、ICTを活用して都市計画や行政を変革する取り組みが始まっています。日本の大学もインフラの変革が必要です。新しいICTインフラを構築・運用するのにふさわしい組織、そして人材を育てる場が必要だと考えてAXIESを設立しました。2011年2月に設立したので、活動を開始してまもなく2年になります。

■AXIESの中にいくつかの部会を設けています。その一つ、「CIO部会」はどういった目的で活動をしているのですか。

 CIO部会の最大の狙いは、大学のCIOにCIOの仕事とはどんなものなのかを認識してもらうことです。大学のCIOというと、情報担当の理事という大学が多いのですが、情報通信系の分野を歩んできた人物が就任しているかというと必ずしもそうではありません。医療や物理といった、情報システムが直接の専門ではない分野の専門家であることが多い。ITに詳しい教職員が補佐につく形になっているわけです。

 そういった場合、CIOはどんな役割を果たすべきか、どんな責任を負い、何をするのかをご存じないケースがあります。財務担当理事ということなら誰でも何をするかが分かる。しかしCIOの具体的な役割となると、よく分からないという声がある。まずは、大学CIOとは何なのかというコンセンサスを作り、やるべきことを理解していただく必要があると考えています。

 AXIESの活動を初めて2年経ちました。バックグラウンドは違っても、大学CIO一人ひとりは熱い想いで真剣に取り組まれています。CIO部会などでの議論や事例紹介を通じて、意識はかなり変わってきたと感じています。

 そのほかにも、CIO部会で取り組んでいることがいくつかあります。その一つが、東日本大震災の被災地向けにパソコンを寄贈するプログラムで、日本商工会議所や日本マイクロソフトと共同で進めています。現時点で1800台の寄贈を決めて手続きや作業を進めており、すでに約700台を現地に寄贈済みです。

 大学が共同利用できるソフトウエアを開発する試みにも取り組んでいます。クラウドに関する検討作業をしているクラウド部会とCIO部会が共同で、安否確認システムを開発する計画です。まずは要件を固めて開発を進め、その成果を各大学が利用するわけです。

 ただこういったシステムも、安定的に運用していくためには、継続的な開発・運用体制が必要です。また、各大学の調達基準を満たすサービスにできるかどうかという課題もあります。もしかすると民間企業に運用などを委託することも考えなければならないかもしれない。こうしたさまざまな課題は、やってみなければ分からないところもあります。

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