あべ・はやと:1978年、宮城県仙台市生まれ。東北学院大学在学中にパソコンの修理・サポートを請け負うベンチャー企業を仙台市内に設立。その後、データ復旧サービスを事業化し、2007年に社名をデータサルベージコーポレーションに変更した。(撮影:中村 宏)
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 2011年3月11日に起きた東日本大震災。地震発生の翌日、阿部勇人氏は東京にある自宅から車に飛び乗り、単身で宮城県仙台市に向かっていた。

 阿部氏にとって仙台は、生まれ育った地元の街。同氏が起業したデータ復旧会社の営業所もある。「とにかく、すぐに駆け付けたかった。だが、救援物資を届けるにしても1人では限界がある。何を支援すべきか。自分に何ができるのか」。そう自問して決めた答えが、本業であるデータ復旧サービスを無償で提供することだった。不幸や混乱に乗じて、法外な値段を吹っかける悪徳なデータ復旧業者の出現をけん制する狙いもあった。

 無償の復旧サービスは、自治体や病院など公共性の高いデータを優先した。阿部氏の取り組みが地元の新聞やテレビ放送などで取り上げられたことで、募集開始から約10日間で200台を超えるパソコンやハードディスク(HDD)が運び込まれた。中には、自転車で数時間かけて運び込まれたものもあったという。

宮城県仙台市にある営業所には、募集開始から約10日間で200台を超えるパソコンやHDDが運び込まれた。なお、無償サービスの受付は終了している


津波の被害に遭ったパソコンは、そのほとんどが汚泥まみれ。工場の薬品に浸かり腐食したハードディスク(HDD)もある。データの復旧作業は困難を極めた

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