「陸上自衛隊のWebサイト」――。そう聞くと、どういうイメージを持つだろうか。戦車の写真が並ぶ勇ましいイメージ? それとも、官公庁ならではのまじめでお堅いイメージだろうか。

 そんな人は、試しにアクセスしてみると驚くはずだ。トップページには、かわいいキャラクターやスタイリッシュなデザインの画像が並び、「ファンコミュニティ」というページには、ゲームやペーパークラフト、ブログパーツなど、多種多様なお楽しみコンテンツが並ぶ。ついつい長居してしまう充実ぶりだ。2011年3月には、公式ツイッターも開始した。

 「自衛隊のイメージとは少し異なるこのサイトは、どんな人が企画しているのだろう」――興味を持って、陸上自衛隊を訪れると、現れたのは若き自衛官だった。防衛省陸上幕僚監部広報室の江口一実陸曹長。彼が2009年3月にインターネット担当になって、「サイトのイメージは180度どころか“270度”変わった」(江口陸曹長)という。陸上自衛隊のWebサイト運営の裏側を聞いた。

■陸上自衛隊のWebサイトはずいぶん内容が充実していますね。

 以前は、カレンダーと壁紙くらいでした。遊びの要素はほとんどありませんでしたね。大きく方向転換したのは、2010年2月にWebサイト全体をリニューアルしたときです。Webサイトを訪問してくれた人が楽しめるように、「ファンコミュニティ」というページを作り、エンタテインメント系のコンテンツを充実させるようにしました。最初は、ぴったりの職種を診断できる「陸上自衛隊適職診断」、成績によって階級が決まる「陸上自衛隊検定クイズ」、時計や画像などが表示されるブログパーツなどを公開しました。その後、2011年2月に、キャラクターを使った「陸上自衛隊ゲーム」を4種類公開。これらのコンテンツの一部は、携帯電話でも楽しんでもらえます。2011年3月に始めたツイッターも新しい取り組みです。

■動画配信なども積極的ですね。

 はい。YouTubeに「陸上自衛隊広報チャンネル」を設けて、部隊の紹介ビデオや、“ミリメシ”(戦闘糧食)を作る様子を紹介するビデオなどを公開しています。以前、動画は防衛省のサーバーからストリーミングで配信していたのですが、重かったので、YouTubeに切り替えました。2010年からは、総合火力演習の様子をUstreamでライブ配信したりもしています。
 

■インターネット担当になられて、ずいぶん内容を変えられたようですね?

 リニューアルして、Webサイトのイメージはずいぶん変わったと思います。リニューアルした時、一番に考えたのは、ユーザー目線で、もっと使いやすくしたいということでした。リニューアル以前のサイトは、トップページに全面、Flash動画を使っていました。しかも、防衛省のサーバーはセキュリティが強固な分、動作が重い。これは変えた方がいいと思いました。たとえ見た目が良くても、Webサイトを訪れる人の立場に立ったときに使いやすくないと、繰り返し見に来ていただけません。Webサイトの目的は、陸上自衛隊の活動をPRして、国民から理解や信頼を得ることです。それには、中身を見てもらうことが大事ですから。そのために、メニューの配置やレイアウトなども徹底的に見直しました。

 親しみを持ってもらえるというのも重視しました。リニューアルしたとき、Webサイトは幅広い人たち、特に自衛隊に無関心な若い人たちに見てもらいたいという方針がありました。自衛隊に興味がない人たちにも親しんでもらえるにはどうすればいいか――。そう考えて作ったのが「ファンコミュニティ」です。楽しそうなコンテンツをいろいろと作りました。

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